フランス政府は、4月の交通事故による死亡者数が昨年同月比で20%増加したと発表。「事故の増加はスピード超過が要因。速度取り締まり用レーダーの手前にその存在を予告するパネルがあるため、ドライバーは取り締まり区間しか減速をしていない」として、フランス全土に設置されているそのレーダー予告パネルの撤去を始めた。
と同時に、全国で500万人のドライバーが所有しているといわれるレーダー探知機も「法の目を抜ける危険な存在」だとして、探知機の所有や販売を禁止する法律も準備中と発表。実はフランスのレーダー探知機は、一般的な探知機能に加え、移動オービスやスピードガンによる取締現場を発見した際、ボタン一つで同じ探知機を持つドライバーに向けた衛星経由による取締場所リアルタイム通知ができる機能を持っており、正にドライバーにとっては「心強い」、取り締まる方からすれば「憎き・・・」存在なのだ。
この政府による一方的規制強化に対し、反骨精神に富むフランス国民が黙っているわけがなく、全国でデモが続発。結果、政府側が「探知機はスピード取り締まり場所を教え合うなどの一部の機能を制限すれば、使い続けてもよい」とトーンダウンし、看板を取り除く作業も現在は中止された状態だ。
これら一連の騒動について、探知機愛用者パトリックさんに意見を求めたところ、「これは政府の陰謀さ、スピード違反は罰金が取りやすいからね。死亡事故の本当の原因は、飲酒運転や居眠り運転といわれてるだろ? 何より無免許運転のドライバーが200万人以上いて、彼らが事故を起こしたら相手に賠償金が払えないのだから、そっちこそ先に取り締まるべきじゃないの?」と政府に批判的。さてこの騒動、どんな決着を見るのだろう。仮に今回は収まっても、また似たような騒ぎが早晩起こることは確実な気もするが。(和)