仏大統領になるはずだった 政界第一人者が… ! ?

6月7日付リベラシオン紙。
6月7日付リベラシオン紙。
 5 月14日12時ごろ(US時間)ドミニク・ストロス=カーン(DSK)国際通貨基金IMF専務理事が、NYのホテル・ソフィテルで客室係を「監禁・性暴力・強姦未遂」の容疑で、ケネディ空港で16時45分発エールフランス離陸前に機内で逮捕された。次期社会党大統領と目されてきたDSK の手錠をはめられた姿、NY裁判所予審公判での彼のぼう然自失状態のうつろな目をTVニュースで見た米仏国民の驚愕、ショックは大きい。
 被害者ナフィサト・ディアロ(ギニア出身32歳、未亡人、娘1人)、愛称オフェリアさんの証言によると、スイートの泊り客が誰かも知らず空室と思って入ったところ、浴室から裸で出てきたDSKに暴力的にベッドに倒され、監禁され、強姦未遂でフェラチオを強要されたという。部屋から逃げ出しホテルの責任者に知らせたがDSKはチェックアウト後で逃亡とみられた。弁護側は検察局に保釈金100万ドルで保釈を要求したが、当局はポランスキーの二の舞を避けるため保釈を拒否、NY北部のライカーズ刑務所に収監した。
 DSKは無罪を主張したため(「有罪」と認めれば検事と交渉可)5月20日(19日にDSKはIMFの要職を辞任)、市民12人からなる大陪審が容疑7件に関し正式に起訴を決定した。米国では各懲役年数が加算されるので75年になる可能性も。6月6 日、被告は再度罪状を否認した。ブラフマン(マイケル・ジャクソン小児性愛裁判で勝利)、テイラー両弁護士は性暴力への「被害者の同意」説を展開していくよう。
 弁護側は保釈金100万ドル+保証金500万ドル、電子ブレスレット装着と自宅居住指定を条件にDSK の保釈を獲得。アンヌ・サンクレールDSK 夫人(元TVキャスター)が住居を必死に探したが賃貸レジデンス2件は住人がDSKの入居を拒否、マンハッタン南部の3階建家屋600m2、家賃月5万ドルの監視カメラ付豪館に落ちつく。
 DSK支持者は彼の性暴力など「ありえない」、仏一般市民57%、PS支持者70%は「罠、策略」と推定無罪を盾に米警察を信じない。ジャック・ラング元文化相は「死者が出たわけでなし」、マリアンヌ誌創刊者J =F カーン氏は「たかがメイドに手を出したくらいで」と男尊女卑社会を代弁しているよう。仏男性を警戒する米フェミニストたちは女性蔑視を温存させている仏女性にも批判的。米国では強姦被害者の40%が訴えるがフランスでは被害者約7万5千人の10%に過ぎない。
 DSKは政治家ジギルと性的ハイドの二面性をもつためか「オンナに手が早く」、女性記者などの一対一の対面は危険と噂されてきた。08年、IMF勤務のハンガリー人協力者、ピロスカ・ナギ氏へのセクハラがIMFで問題になった。02年、作家トリスタンヌ・バコンさん(PS議員の娘、当時23歳)が彼の取材中に性的暴行を受けたが、周囲にいさめられ訴えなかった。
 フランスでは私生活は民法で保障されており、著名人の私生活はメディアの自己検閲により、ミッテラン大統領に婚外子マザリンがいた二重生活も長年伏せられていた。しかし今回の事件発生まで、DSKの性癖を黙視してきた記者や社会党関係者が米国でやり玉に上がっている。(君)