シーザー対ブルータスの闘い。


「ブルータスが短刀でシーザーを暗殺しようとしたとき、シーザーは寛衣 で頭を覆ったが、私ならブルータスに刺される前に剣で彼を殺す」と、自分をシーザーに、メグレ元代表を謀反者ブルータスに仕立て「フランスが危ない!」と怒号を上げる国民戦線FN党首ルペン。
 2年以来、戦略面でズレが生じていたルペンとナンバー2メグレとがついに12月に正面衝突。97年選挙で一躍株が上がったメグレ氏は上流家庭の御曹司でポリテクニシャン(エリート校卒)。アルジェリア戦争元落下傘部隊員ルペンとは対照的。メグレ氏はルペンの扇情的な外国人排撃の一人芝居だけでは政権はとれないとし、FNの近代化を目指す。そこで、ルペンが25年かけて築いた城塞、彼らの間で”Paquebot 客船” と呼ばれるFNを守る娘婿や忠臣ら(筆頭にゴルニッシュ書記長)と、メグレ派造反組との間で罵倒・痛罵の交戦、果ては執行部での陣取り合戦と、リベラシオン紙の見出しを借りるなら、”暴力団まがいの戦争”が泥沼化し年が明けた。
 ルペン対メグレ戦争は、ルペンの暴力沙汰裁判(97年総選挙中、社会党女性候補に暴力を振う)に発する。昨年11月17日ベルサイユ控訴院は被告の有罪を認めたがルペンは上告。この裁判でルペン党首の被選挙権剥奪が予想されたためメグレ氏が、「自分がEU議会選挙でFNのリーダーになるのが妥当」とほのめかしたものだから党首は激昂。ルイ14世の”朕は国家なり” を真似て、「FNにはナンバー1あるのみ」と宣言し、奥方ジャニー夫人をEU議会選挙へのFNリストの筆頭者にすると発表した。
 そこでメグレ派の反撃。造反組は99年1月に臨時党大会の開催を要求し、幹部セルジュ・マルティネーズ氏が同大会開催への署名運動を行い、開催に必要な党員の20%、1万以上の署名を集める。敵のゲリラ戦に慌てた党首は「エリゼ宮から資金が出ているメグレ派フリーメーソンの陰謀! クーデター! 臨時党大会は罠!」と、叫び立てる。そして12月23日メグレと腹心6人を正式に除名し、メグレ派事務局員らの首も次々に切りスターリン流に一大粛正を決行。
 FN党員の6割を占めるメグレ派は1月23/24日に臨時党大会を開く予定で、ルペンのFNとは別に”メグレのFN”としてEU議会選挙でルペン派に対抗する形勢だ。
 極右党内の殺し合いを”天の恵み”と喜ぶのは保守派のオオカミたち。彼らは、ルペンとメグレの間をさ迷うFN系の子羊たち(投票者の15%)をいかに保守陣営に引き込むかを模索中。同時に左翼側もおちおちしてられない政変の到来である。去年はワールドカップ、今年はルペン対メグレの一騎討ちに衆目が集まりそう。

(君)


 

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