●モロッコの爆弾テロでフランス人8人死亡
4月28日、モロッコ・マラケシュの観光客に人気のカフェで爆弾テロ事件が起き、16人が死亡、21人が負傷した。死者はフランス人8人、モロッコ人3人のほか、英国人、スイス人など。2つの大きなカバンを持ったアラブ系男性が爆発の数分前にカフェに入ってきたとの目撃情報がある。犯行声明は出ていない。イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQMI)は犯行を否定している。モロッコ当局によると、爆弾は遠隔操作タイプで大きな破壊力を持つものであることから、AQMIと同様の別の武装グループの関与を疑っており、5月10日までに6人を逮捕した。一方、フランス人犠牲者の遺体は3日、オルリー空港に到着した。
●パスクワ元内相、控訴審で無罪に
パリ控訴院は4月29日、アンゴラへの武器不正売買事件で第1審の禁固1年の判決をくつがえしてパスクワ元内相(84)を無罪とした。この事件は1993年にアンゴラ内戦の際に、ピエール・ファルコン被告とアルカディ・ゲダマック被告が8億ドル相当の武器をロシア経由で不正にアンゴラに売却し、当時のパスクワ内相がからんでいたとされるもの。ファルコン、ゲダマック両被告には、不正武器取引の罪状による禁固6年の1審判決から、控訴審では不正政治献金の罪状で2年?2年半の禁固刑に減った。元内相は9日、事件を担当した予審判事や事件当時の閣僚・高官だったジュペ外相、ドヴィルパン前首相らを告訴する用意があると明らかにした。
●2009年AF事故機のブラックボックス回収
2009年6月にブラジル沖に墜落したエール・フランスAF447(死者228人) のブラックボックス2個が5月1日、2日に海底から回収された。仏民間航空安全調査分析局BEAによると、2つのブラックボックスは大きな損傷を受けていない模様で、これによって事故原因の解明が進むことが期待される。また、4月に新たに見つかった機体部分や遺体の引き上げ作業も行われており、5日には最初の遺体が引き上げられた。しかし、すべての遺体の引き上げは困難な上に、遺体引き上げを希望しない家族もあることから、10日、フランスの予審判事は「犠牲者の尊厳を守るため」損傷のひどい遺体は引き上げないことを決めた。
●報酬の値上げ求めて、弁護士がスト
5月4日、被疑者の身柄拘束の規則改正に伴う規定報酬の値上げを求めて、パリで弁護士がデモを行ったほか、リヨン、ボルドー、レンヌなど主要地方都市でストを行った。被疑者の身柄拘束に最初から弁護士が同席する条項を含む法改正は6月から施行されるが、弁護士同席規則は直ちに適用するべきと破棄院が4月15日に判断を下した。これに伴い、弁護士費用を払えない被疑者に対して国が負担する弁護士費用として、国は24時間以内の拘束に定額300ユーロを提案しているが、全国弁護士会評議会はこれを不満とし、366ユーロを要求している。
●ヴォキエズ氏のRSA改革発言に議論沸騰
就業連帯手当(RSA)受給者に公益奉仕労働を義務付けるべきだと、5月7日にヴォキエズ欧州問題相が発言したことで議論が沸騰している。RSAは社会復帰最低手当(RMI)に代わって2009年に創設され、無職の人ばかりでなく、低収入の人にもRSAとの差額を支給する、いわゆる生活保護。同相はRSA受給者が低賃金労働者に比べて恩恵を受けすぎているとし、週5時間の公益奉仕労働を義務付け、RSAと各種手当の合計が法定最低賃金(SMIC)の75%を超えないように改正すべきと発言。左派と右派の一部は同相がRSA受給者の実態を把握していないとして非難の声を上げている。
●タピ問題再燃で、経済相への調査開始
破棄院付検事長は5月10日、ベルナール・タピ氏への公的資金支払い問題に関して、ラガルド経済相に対する調査開始を決定した。この件は、アディダス売却をめぐるタピ氏とクレディ・リヨネ銀行の長年の係争を終結させるために、2008年に経済相が通常の裁判所でなく仲裁裁判所に同件を託し、その結果、倒産したCLの資産を受け継いだ資産売却コンソーシアムが公的資金から2億8500万ユーロをタピ氏に支払うことが決まったもの。これに対し、社会党議員が同件を国会で討議しなかったのは違法だとして、破棄院に提訴。今後、破棄院調査部が調査を行い、本格的な捜査を開始するか否かを決定する。