●「チュニジア革命」で仏政府の対応に批判
昨年12月に始まったチュニジアの反政府デモ騒ぎに対するフランス政府の傍観者的対応に批判が噴出している。とくに、アリオ=マリ外相が1月11日に国会で「こういう事態のために、わが国の治安当局のノウハウを提供している」と答弁したことで、左派は「フランス外交の恥」などと一斉に反発。一部には外相の辞任を求める声も上がった。これを受けて、ジュペ国防相は17日に「政府はチュニジア国民の激怒を過小評価した」と発言するなど軌道修正。一方、24日、パリ検察局は14日に国外脱出したベンアリ=チュニジア前大統領と親近者のフランスにおける財産について予審を開始。反経済犯罪団体やアラブ人権委員会などの訴えを受けたもので、捜査は経済省資金洗浄対策局が担当する。
「失格」という見出しの1月19日付リベラシオン紙。
●メディアトール報告書、製薬会社を非難
セルヴィエ社製造の糖尿病薬「メディアトール」服用によって500~2000人が死亡したとされる問題で、福祉問題監査総局IGASが1月15日に報告書を公表した。報告書は、同社が副作用やリスクを隠して糖尿病薬としての医薬品認可を取り付けたと厳しく非難するとともに、医療関係者がリスクを指摘したにもかかわらず認可した医薬品認可当局を批判。被害者団体はすでに116件の訴えを起こしている。またヴェルサイユ控訴院は20日、同社製造の食欲減退薬「イゾメリッド」を服用したために1995年に死亡した女性(当時47)の遺族に慰謝料として11万8千ユーロを支払う判決を下した。
●マリーヌ・ルペン氏、国民戦線の新党首に
1月16日、極右の国民戦線党FNの党創設者で現党首のジャン=マリー・ルペン氏の娘、マリーヌ・ルペン氏(42)が党員代表者の投票で67.65%得票し、ライバルのブリューノ・ゴルニッシュ氏(32.25%)を破って新党首に選出された。新党首は18日にテレビで、「社会保障、福祉、雇用、住宅はフランス人だけに限定」や脱ユーロという前党首のスローガンを繰り返す発言。8日に実施されたCSAの世論調査によると、次期大統領選でルペン新党首に投票すると答えた人は、社会党のストロース=カーン氏(30%)、サルコジ現大統領(25%)に次いで3位の18%。
●フランス国鉄、TGV利用者にお詫びの割引
度重なる列車の遅れに業を煮やした国鉄SNCF利用者が、乗車券を検札係に見せない抗議運動を行っている問題で、1月21日、利用者団体と協議したSNCF幹部は、超高速列車TGVで通勤、通学する人には2011年の定期券代を200ユーロ割り引くとともに、定期券代を値上げしないことで合意した。しかし、この合意がTGV利用者に限定されることに不満な西部鉄道利用者協会AVUCは22日、地方急行列車TER利用者に乗車券不提示運動を呼びかけた。また、SNCFは20日、リヨン-ディジョン間やパリ-ルマン間のTER、パリ-トゥール間のTGVならびにRERのA・B線など、問題のある12路線のサービス向上のための今後2年間の行動計画を発表した。一方、SNCFは2月8日からTGV、Téoz(中央・南部地方列車)、Lunéa(夜行)の料金を2.85%値上げする。
●ヴィヴェンディ元社長に執行猶予付3年
パリ軽罪裁判所は1月21日、メディア企業ヴィヴェンディ・ユニヴェルサル社のジャン=マリー・メシエ元社長に執行猶予付禁固3年と罰金15万ユーロの支払いを命じた。元社長は控訴する。元社長は2050万ユーロに上る自分の退職金額を役員会の合意なしに決めたことや同社の財務状態に関する偽情報を流布したとされている。この裁判では同社元幹部3人にも6~15カ月の執行猶予付禁固刑が言い渡された。
●ユション氏選挙違反疑惑、憲法評議会へ
ジャン=ポール・ユション=イル・ド・フランス地域圏議会議長が地域圏議会選挙で選挙違反を犯した疑惑がもたれている件で、国務院は1月24日、この件に関する合憲判断を憲法評議会に仰ぐことを決めた。この問題は、地域圏選挙が行われた2010年3月の半年前に、同地域圏の公共輸送サービスが向上したとうたったキャンペーンをユション氏がイル・ド・フランス公共輸送組合の費用(80万ユーロ)でさせ、自分の選挙運動に利用したとUMP議員が国務院に訴えたもの。国務院の報告者は12月3日に、ユション氏の行為を選挙違反として選挙無効を支持する見解を出した。そこで、同氏が選挙無効は違憲であるとの訴えを国務院に提出したため、今回の国務院の決定となった。憲法評議会は3カ月後に合憲・違憲判断を下す予定だ。