ブルーチーズというと、チーズ慣れしてない人にはみんな同じような味に思えるかもしれないけれど、いろいろ味わってくると、それぞれに独特の食感や風味があることがわかってくる。この欄でロックフォール、フルム・ダンベール、ブルー・ド・コースなどを紹介してきたが、今回はブルー・ド・ジェックスです。
このブルーチーズは、13世紀くらいからジュラ山地のサンクロード修道院で造られていた「灰色チーズ」に由来するもので、ジュラの高地で飼育されているモンベリアルド種の牛の乳が原料。生乳の段階で青カビが加えられ、熟成用カーブに入れられる前に、青カビが繁殖しやすいように針で空気の穴があけられる。熟成期間はふつう1、2カ月。
「Gex」という刻印が押された薄い褐色の皮、象牙色の身には灰緑色の細かな青カビがまんべんなく行き渡っている。塩分は思ったより控えめでクリーミー。少々ぽろぽろっとした食感は、英国のブルーチーズ、スティルトンを思わせる。どこか軽い苦みが味のアクセント。ジュラ山地で造られている上品な赤ワイン、アルボワを飲みながら味わいたいものだ。フォンデュにも使われる。(真)