レストラン欄で紹介したことがある10区のレストラン〈Coin de
Table〉で出されるルブロションは、そのおいしさにみんなが感心する。先日この店でそのルブロションの即売会があった。企画者のユーグさんが、オー
ト・サヴォワ県の山村の酪農家フランソワ・タビュイさんのルブロションを購入し、2週間かけて熟成の仕上がりを待ってから山を下り、その翌日に即売という
逸品だ。ボクが味見したのは二日後。写真がそれだ。
初夏になって放牧され、標高1000メートル以上の山地の香り高い草を食べている牛の乳を
使ったルブロションは、今が食べごろ。薄いクリーム色の皮は熟成が進んでいるのでやや固め、指で押すと柔らかく押し返してくれる。期待が高まる。切り口は
しっとりとしたつやを放ち、2分も置いておくと、その切り口から、中身がとろりとはみ出てくる。皮ごと薄く切って口に含むと、わらの香りがかすかにする。
ルブロションならではの控えた塩加減、どこまでもクリーミーな味わいが広がり、とりたてのハシバミのような風味が残る。
皮ごとバゲットパンに塗りつけ、オーブンの上火で5、6分ほど焼くと、そのやや固めだった皮のおいしいこと!(真)