倹約家として名高いフランス人たちは、家の次に大きな買い物の「車」をどのように選んでいるのだろう? ちょうど友人のパトリックが「もっと燃費が良くて乗り心地の良い車が欲しい」と言っている。
まず最初に彼がとった行動は、車雑誌の大量購入。そしてジャーナリストのコメントや、各車の性能を徹底的に調べて4候補くらいに絞ったところで、ひたすら毎日パソコンの前で価格や相場をチェック。最終的に候補を2車種に絞っていった。さて、これでは日本人と大差はないのだが、しかし彼のフランス流が発揮されるのは、ここからだった。
取りあえずの候補を選んだ彼は、両親、北フランスに住んでいる姉夫婦、同級生や友人たちへの相談を開始した。中でも修理工場を営む義兄とは、毎日帰宅後に長電話で熱心に意見交換を実施。また父親も大量の雑誌とネットサーフィンで援護射撃をし、さらには友人たちも、情報を求め奔走していた。
「ああでもない、こうでもない」と毎日果てしなく続く討論会の末、買換え決意後2カ月経ったところで車屋さん巡りがスタート。そこで、「レーサーの意見も聞きたいから、試乗に付き合ってくれる?」ついに私にも声がかかる。
試乗の段階になって、彼の父親も一緒に確認することになり、3人でパリ北東の中古車屋さんへ。目標とする車の試乗を終え、やれやれこれでやっとゴールかと思いきや、「思っていたより乗り心地が良くない。他車種を一から探し直す」との結論に達したそうで、振り出しに戻り討論が再スタート・・・。
こうした4カ月の紆余曲折を経て、ようやく納得のいく愛車に出逢えたパトリック。一体何人を巻き込んだのだろう? 「もう疲れ果てたよ。しばらく車は換えたくない」と語っていたが、きっと周囲の友だちや家族も、同じように感じていたに違いない。(和)