しばらく前に、イタリアの〈pâtes pressées cuites 加熱圧搾〉タイプのチーズ、グラナ・パダーノのことを書いたが、ふつうパルメザンといわれるパルミジャーノ・レッジャーノParmigiano reggianoもこのグラナの一つで、その中でも最高とされている。キロ30ユーロ前後。パルマおよびその周辺で11世紀くらいから作られている牛乳チーズで、高さ20センチ前後、直径40センチ前後、重さ30キロという大きなチーズ。熟成2年以上のものは、金同様に投資の対象になるくらいの名品だ。
身がくだけやすいので、ナイフの先を立てて軽く力を加え、自然に割れるようにしないと粉々になってしまう。かみしめると、アルミ酸が粒子になって歯にシャリッと当たり、乳脂肪率30%ちょっととは思えないコク、昆布を思わせるうまみが口の中に広がっていく。食後にまろやかなキャンティの赤がおすすめだが、バルザミコ酢を振りかけておつまみにするのもいい。
おろされて袋入りで売られているものは、安めのグラナであることがほとんど。本物のパルミジャーノ・レッジャーノを、パスタの上からおろしてかけると、そのうまさに舌を巻くことだろう。(真)