ハラハラドキドキ迫力満点! “Cellule 211”

 フランスのセザール賞に匹敵するスペインのゴヤ賞で、昨年度、作品賞をはじめ8部門を総なめにした『Cellule 211  プリズン 211』、日本では劇場公開されずビデオスルーでDVD が既に発売されているが、こちらでは8月4日から公開。暑気払いにぴったしのハラハラドキドキ迫力満点の1時間50分を堪能できる。
 明日から看守に就任する刑務所の見学に来たファン(アルペルト・アンマン)が運悪く囚人たちが起こした暴動に巻き込まれる。看守であることがバレると何をされるか分からない。とっさに新入りの受刑者になりすまし、暴動に荒れ狂う囚人たちに溶け込み、首謀者で極悪人然としたマラマドレ(ルイス・トサル)に気に入られるファン。刑務所の外では事態収拾に大わらわ。特殊部隊が突入待機する中、政府から交渉人が派遣される。この監獄には凶悪犯の他にバスク独立組織の政治犯=テロリストも収容されている。彼らの身の安全確保が使命の政府側。一方、異常事態を知ってかけつけたファンの身重の妻は、刑務所前に集まった囚人の家族たちの抗議の波にのみ込まれ、機動隊の制裁の犠牲になる…。
 メインプロットはファンの運命。まずは彼の正体がバレないかハラハラ、次に脱出の機会にドキドキ、しかし事態はこの一本線上に留まらない。ここがこの映画のすごいところ。刑務所の中も外も権力構造や裏切りが渦巻く。情報は制御され、人道主義は建て前に過ぎず、個人の運命は軽く翻ろうされる。そのことを身をもって知らされたファンの怒り。人が体制側から反体制側に寝返る時、そして最後に残ったのはファンとマラマドレの友情だったが…。ダニエル・モンソン監督、渾身の一作。余談として、金歯のアパッチ役のカルロス・バルデムはハビエルの兄。似てない? (吉)