弦楽器修理のアトリエ — フランスでも ウクレレが静かなブーム。


優美なパッサージュにあるアトリエで、弦楽器の修理職人ロジーヌさん。

 ルーヴル美術館の近く。1823年建設の優美なパッサージュ・ヴェロ・ドダ。パリの中心にして人影はまばら。喧噪(けんそう)と無縁の場所に弦楽器修理アトリエ兼ブティック〈R&F Charle〉はある。店といえども呼び鈴を押し、鍵を開けてもらわないと入店できない。さりげない店構えながらいちげんさんお断り風の厳かな雰囲気。壁には年代ものの味のあるギターの数々。ここはディディエ・ロックウッドやエンリコ・マシアスといった名だたるアーティストもひっそりと訪れる弦楽器奏者の聖地なのだ。
 「木はnoble(高貴)よ」。木に触っていられるのが喜びと語る弦楽器修理人ロジーヌさん。仕事で最も多いのはギターの修理だ。「私はフォークギターが専門。パリでクラシックギターの修理ならサン・ラザールの楽器街が請け負う。ちゃんと仲間内で棲み分けができている」のだとか。ギターの次に扱うことが多いのがウクレレ。「世界的にもウクレレ人気が高いでしょ?  私もここ8年くらいウクレレ修理をよくするの」。フランスでは、人気テレビ番組〈ヌーヴェル・スター〉出身の歌手ジュリアン・ドレがウクレレを持ったことがきっかけになり、若い人の間で静かなブームを呼んでいる。「ウクレレはどんな種類の音楽にも馴染むのが魅力。弦は4本だけで手軽に見えるけど、上手くなるには練習しないとダメよ」とチクリ。
 さて、美しいパッサージュ内の工房で日々心穏やかに仕事に打ち込んでいられるロジーヌさんだと思いきや…。「たまに実力不足の修理人が直した楽器が回ってくるのが困るわ」。なんでも最近の若い人たちは1年も修業すれば一人前だと思い、すぐに一本立ちしてしまうのだとか。そんな彼らの仕事を、彼女が巡り巡って尻拭い。「まずノリの付け方が違う。やっつけ仕事でベチャと付けてる。手を使う仕事は最低10年は修業が必要なのにね」(瑞)

R&F Charle : 17 Galerie Véro-Dodat 1er
01.4233.3893  www.rfcharle.com


息子さんが接客中。


ウクレレの中を開けます。


ウクレレに専用ノリをつけて閉じる。


とれないように締め付ける。


乾くのを待っているウクレレ。