●閣僚、年金と給与の2重取り禁止に
フィヨン首相は6月15日、現職閣僚の公務報酬と議員年金の2重取りを禁止するとした。この決定は、ブタン元住宅相の2重取りに対する世論の非難を受けたもの。元住宅相は国会議員年金(月6000ユーロ)、県議会議員手当(月2000ユーロ)ならびにグローバリゼーションに関する大統領府から任命された特務に対する報酬(月9500ユーロ)を支給されていた。元住宅相は10日、特務報酬分を返上すると発言。閣僚報酬は2002年に70%引き上げられ、約月1万4千ユーロ(首相・大統領は2万ユーロ)。バシュロ保健相など他の閣僚の2重取りも判明した。
●ヴァール県の豪雨で死者25人
6月15日夕方、フランス南部ヴァール県ドラギニャン市と周辺地域が集中豪雨に見舞われ、22日までに死者25人、行方不明者3人が確認された。同市では市街地で水位が急速に上がり(2メートル)、多数の家屋が浸水した。豪雨の影響でトゥーロン=ニース間の列車や高速道路も不通となったほか、20万世帯が停電。さらに、企業1000社が被災し、農業も大きな打撃を受けた。フランス保険会社連盟によると、被災者は約4万5千人、災害補償総額は7億ユーロに上る。政府は22日に9市町村の自然災害を認定し、緊急支援200万ユーロの拠出を決めた。
●定年退職年齢、2018年から62歳に
ヴルト労働相は6月16日、年金制度改革に関する政府案を発表した。定年退職年齢は現行60歳から2018年までに62歳に、満額支給の年齢も65歳から67歳になる。さらに公務員の年金保険料は10年間で段階的に民間並みに引き上げ。満額受給のための保険料支払期間も現行40年から段階的に引き上げられ2020年には41.5年に。この改革と高額所得者やキャピタル・ゲインなどへの追加課税(計44億ユーロ)によって現在320億ユーロの年金公庫の赤字を2018年までに解消する狙い。野党や労組は改革に反対しており、改革案に抗議する労組の24日のデモには全国で190万人(警察発表では80万人)が参加した。
●仏サッカーW杯1次リーグ敗退、政治問題に
6月22日、サッカー・ワールドカップ1次リーグでフランスは南アと対戦し、1-2で敗北。対ウルグアイ戦で0-0の引き分け、対メキシコ戦は0-2で敗北し、A組最下位で1次リーグ敗退が決まった。しかも、17日にアネルカ選手がドメネク監督に暴言を吐いたことがレキップ紙で報道され、フランスサッカー連盟(FFF)は19日に同選手の追放を決定。これに反対する選手が20日の練習をボイコットし、FFFの代表チーム担当幹部が辞任する騒ぎとなった。代表チーム、ドメネク監督やFFFの責任を問う声が上がり、一大スキャンダルに。サルコジ大統領はサッカー界の改革を指示し、10月にサッカー界重鎮の会議を開くほか、国会調査委員会がこの件を調査する事態に発展した。
●ベタンクール事件、ヴルト労働相に飛び火
ロレアル創業者の娘リリアーヌ・ベタンクールさん(87)の財産をめぐる事件が新たな展開を見せている。ベタンクールさんの元使用人が2009年~10年にベタンクールさんと財産管理人の会話を録音したテープが、警察に渡ったのがきっかけ。このテープには脱税のための方策、サルコジ大統領やヴルト労働相(当時予算相)らへの献金に関する会話が含まれ、ベタンクールさんの財産管理にあたっているフロランス労働相夫人の名前が頻繁に挙がっている。労働相夫妻は22日、脱税への関与を否定。労働相夫人はベタンクールさんの持株会社「クリメーヌ」辞任を決めた。この事件は、写真家フランソワ=マリー・バニエ氏がベタンクールさんの健康状態につけこんで10億ユーロをだまし取ったとして、ベタンクールさんの娘が告訴したもの。7月1日に裁判が始まる。
●ビスフェノールA、哺乳瓶への使用禁止
国民議会は6月23日、ビスフェノールA(BPA)を使用した哺乳瓶の製造・販売を禁止する法律を最終成立させた。急進左派党議員が提出した原案は、BPAを含むすべての食品容器を製造・販売禁止としていたが、哺乳瓶のみに適用を限定する修正案が可決された。BPAは人間の生殖能力に悪影響を及ぼす可能性があるとして、カナダなどでは食品容器の一部または全部への使用が禁止されている。