●カラチ事件、暴露記事で再燃
4月28日付リベラシオン紙の暴露記事によって、フランスのパキスタンへの原子力潜水艦売買の手数料問題が再燃している。同紙は、現金1千万フラン(152万ユーロ)がバラデュール元首相の大統領選挙資金用の銀行口座に1995年4月に入金された証拠を入手したとし、この現金が潜水艦売買手数料から出た疑いがあると報道。元首相は即座にそれを否定した。2002年のカラチでのフランス国防省海軍建設局の11人が死亡した自爆テロは、潜水艦売買の手数料にからむ報復であり、元首相の関与の可能性を昨年フランス各紙が報じたことを受け遺族が提訴し、パリ検察局は2月に予審を開始した。予審判事は5日、モラン国防相に潜水艦売却契約書に関する文書の開示を求めた。
●パスクワ元内相、1年の禁固刑に
共和国法院は4月30日、会社財産横領共犯罪で、パスクワ元内相に執行猶予付1年の禁固刑の判決。警察関係の備品購入(ソフレミ社)に関して、元内相の息子やピエール・ファルコン氏(2人は通常裁判で禁固1年の実刑判決)ら内相の側近に不正な手数料が渡っていた。他の2件の汚職疑惑では無罪に。1件は、オート・サヴォア県のカジノ営業認可に関する収賄(18カ月の執行猶予付禁固刑が通常裁判で09年9月に確定)。もう1件はGECアルストムの本社移転認可に関するもの。共和国法院は大臣の職務上の罪を裁く司法機関で、国会議員12人と司法官3人から成る。検察側、元内相側とも上訴。
●コソボ人障害児の強制退去に怒りの声
5月4日にコソボ人の障害児(15)が家族とともに強制送還させられたことに怒りの声が上がっている。フランス各紙報道によると、3日夜9時ごろ、モーゼル県のリハビリセンターに憲兵30人がやってきて、治療中のコソボ人少年を連れ去り、両親、兄弟とともにメッスの留置センターに収容、翌4日、コソボに強制送還された。メッス在住の親族によると、来仏時は動くこともできなかった少年の状態は改善しているという。仏当局は少年の病気はコソボでも治療できるとし、亡命申請を却下し、退去命令を下していた。重病の外国人を強制送還できないという法律に違反するとして、フランス障害者協会は少年の強制送還を非難している。
●タニ号オーナーを撃ったのは仏軍兵
2009年4月にソマリア沖で海賊にだ捕されたヨット〈タニ号〉の人質救出作戦の際、ヨットオーナー、フロラン・ルマソンさん(28)を誤って射殺したのはフランス海軍特別攻撃隊員であったことを、国防省が5月5日、公式に認めた。この作戦では海賊2人が死亡、3人を拘束(フランスに勾留中)、ルマソンさんの妻クロエさん、息子、友人2人は無事救出された。クロエさんによると、国防省から賠償金として42万ユーロを提示されていたが、公式な謝罪を求めてこの賠償金を拒否した。この事件では、フランス軍の救出作戦に疑問を呈する声とともに、危険海域であるソマリア沖を航海したルマソンさんの過失を指摘する声も上がった。
●サッカーの1次リーグはOMが優勝。
5月6日付パリジャン紙。
5月5日の対レンヌ戦で、オランピック・マルセイユは3-1で快勝。2戦を残してサッカー1次リーグの優勝を決めた。18年ぶりの快挙に、〈サッカーの町〉マルセイユは早朝まで沸き立った。
●サルコジ大統領、校内暴力対策を発表
サルコジ大統領は5月5日、校内暴力対策の骨子を発表した。内容は、素行の悪い13?16歳の生徒を対象に規則を遵守する習慣をつけさせる寄宿学校を来年10校開設、欠席の多い生徒についてはその親への家族手当の支給を停止し、停止権限を県議会議長から視学に移転する法案を夏前に成立させる。さらに、これまで校内暴力の多い学校のみで行っていた校内安全に関する調査を2010年6月までに全校で実施し、問題のある地域の優秀な生徒を集めた「優秀寄宿校」を来年11校開設する。
●モレックスの経営者に執行猶予付禁固刑
トゥールーズ軽罪裁判所は5月6日、自動車用電気コネクタ製造の仏モレックス社(オート・ガロンヌ県)の経営者2人に6カ月の執行猶予付禁固刑と罰金1万ユーロの支払いを命じた。2人は同社のウィリアム・ブロスナン元会長とフィリップ・フォール元社長。2人は2008年10月に工場閉鎖を発表する前に、従業員代表者に意見を求めたり、情報を提供しなかったとされる。従業員の閉鎖反対運動にもかかわらず、同社は2009年に閉鎖し、280人の従業員を解雇。米モレックス社はこの判決に対し、フランスの法律に違反しておらず、控訴する用意があるとした。