パクス PACS 世代。

 結婚と内縁関係の中間、パクス PACS(連帯市民協約)が生まれてすでに10年(1999年11月15日施行)。パクス法案が成立する前、右派政治家たちは「結婚の代用品」と蔑(さげす)み、超保守派ブタン議員などは聖書を掲げ、「ティッシュペーパー・カップル!」と怒ったものだ。
 パクスは09年17万5千件にのぼり、婚姻数43万6千件との差を縮めている。とくに30~40代にパクス希望者が増えているのは、たぶん彼らの幼児・少年時代に両親の離婚劇をいやというほど味わった人が多いからなのだろう。結婚は教会で式を挙げる人もいるが、市・区長の前で厳かに誓い合い、証人も署名し、新郎新婦が結婚指輪を指にはめ合うが、パクスは二人だけの協約なので両人だけが署名し、親にも知らせない人が多い。
 パクス、内縁であろうが誰もが子宝を望み、フランス女性の出生率は昨年1.99で欧州一。そのうち婚外出産が53%!  再婚またはパクスをくり返し、互いに2、3人の子連れ同士の複合家庭もめずらしくない。そして離婚率18.2%に対し、パクス解消率は18.23%だというから、パクスの結束性もあなどれない。
 パクスは共同生活を営む男女(95%)または同性者に認められ、社会保障や税申告、07年からは相続税(遺言書が必要)も婚姻者と同等になり、以前は小審裁判所書記の前で署名したが、今は市・区長が執り行う。片方または両人の意志によるパクスの解消は小審裁判所書記に文書を提出するだけ。が、パートナーへの生前贈与や片方の死後生存相手への年金転換は認められていない。
 ホモセクシャルについてだが、長い間フランスでは同性愛はタブー視され、1960年法は同性愛関係に対し公然猥褻罪より2倍重い罰を科したが、82年に処罰対象から外された。パクスによりレズビアン、ホモセクシャルの共同生活が社会的に認められたわけだが、彼らに依然認められていないのが養子縁組だ。レズビアンのなかには、片方の人工授精による出産により子供を実母・叔母として育てているケースもなくもない。
 西洋諸国では89年にデンマークが同性者の共同生活を認めて以来、ノルウェー、スウェーデン(ルター教会も認める)、アイスランド、オランダ、ベルギー、スペインと次々に同性同士の結婚を認めた。カトリック教が根強く中絶解禁法も98年国民投票が反対し、07年の第2回投票で初めて認可されたポーランドでも今年1月8日、ついに同性同士の結婚を認める法律が成立。フランスのパクス同様、ドイツ、フィンランド、英国、スイス、チェコ、ハンガリーなどは同性パートナー同士の共同市民生活を認めている。
 このように各国の文化・宗教に関係なく、神に誓い合う結婚から17世紀以降の男女の恋愛結婚、親にも知らせずに同性同士でも共同生活協約に署名できるパクスへと、社会・家を飛び越えて愛情を重んじるカップルが増えつつあるのだ。(君)