冬休みに入る一週間前、ミラが成績表を持って帰ってきた。中を見ると細かな項目が5枚の紙にびっしりと並んでいる。日本のように「国語=よい」、「算数=ふつう」と科目ごとに評価があるのではなく、算数だったら「定規を正しく使えるか」、「100までの数を書いて読めるか」といった項目が16、フランス語だったら「辞書を使えるか」、「同じ音でのスペルの違いがわかるか」といった項目が19もあり、それぞれが5段階で評価されている。先生も大仕事だ。そして気になったのが「世界発見Découverte du monde」という素敵な名前の科目。これはCP(小1)とCE1(小2)の生徒に、時空間や社会についての認識を深めさせる目的の授業。こちらも「きのこの特徴を知っているか」とか「カレンダーを使えるか」といった妙に具体的な項目が並ぶ。また「児童の権利に関する条約を知っているか」という項目まであるのは、権利に敏感なフランスらしい。こうしてフランスの子供たちは幼い時から良くも悪くもしっかりと「権利の概念」を植え付けられるのか。
さて肝心なミラの成績だが、飛び級をしたわりには大健闘。「算数が全部Aって私の子じゃないみたい!」と褒めると、「先生がね、頑張ったからサンタからプレゼントをたくさんもらうのよって、ね」とニッコリ。ちゃっかりと「子供の権利」を主張するのを忘れなかった。(瑞)