●パスクワ元内相、シラク氏らを非難
兵器の輸出が禁止されていたアンゴラへの不法兵器輸出に関する職権乱用罪で、10月27日に禁固3年(うち執行猶予2年)と罰金10万ユーロの判決を受けたパスクワ元内相が反撃に出た。元内相は29日付フィガロ紙上で、アンゴラへの禁輸は政府の建前にすぎず、1993~98年当時の大統領、首相、経済相、国防相は兵器輸出を知っていたと暴露し、国防機密の解除を求めた。当時の大統領、関係閣僚とは故ミッテラン大統領、シラク前大統領、バラデュール、ジュペ元首相、サルコジ大統領、ドヴィルパン元首相ら。パスクワ元内相は裁判中、国の庇護を頼りに黙秘を続けたが、実刑判決を受けたため、一転して反撃に出た模様だ。
●フランスのアイデンティティ論争、開始
ベッソン移民・国家アイデンティティ相は11月2日、フランス人のアイデンティティについての全国規模の討論を開始した。まずは政府の通達に基づいた討論が仏本土の96県および海外県で行われ、その結果を来年2月4日に同相が討論会で発表する。さらに、ネット上での議論を進めるためのサイトも2日に開設され、自由・平等・博愛の精神を理解すること、国歌マルセイエーズを年に1回は歌うことなどの同相の提案が掲載された。この討論はサルコジ大統領の要望で計画されたものだが、与野党両陣営でその是非を疑問視する声も多い。野党は来年3月に行われる地域圏議会選挙に向けた選挙運動と批判。
●レヴィ=ストロース氏が100歳で死去
11月4日付リベラシオン紙の表紙
構造主義の始祖といわれるフランスの社会人類学者クロード・レヴィ=ストロース氏が10月31日深夜にパリで死去していたと、11月3日、各紙が報じた。享年100歳だった。昨年11月28日の100歳の誕生日には社会科学の優れた研究に対し「クロード・レヴィ=ストロース賞」創設が発表されたほか、さまざまな記念行事が行われた。
●ゴンクール賞など文学賞、次々と発表
11月2日、仏文学の最高賞であるゴンクール賞に、マリー・ンディアイ氏(42)の『Trois Femmes puissantes』が選ばれたのを皮切りに次々と今年の文学賞が発表された。ルノドー賞にはテレビの司会者も務めるフレデリック・ベグベデール氏(44)の『Un roman français』。メディシス賞はハイチ系カナダ人ダニー・ラフェリエール氏の『L’Enigme du retour』、同賞外国文学部門は米デイヴ・エガーズ氏(39)の『Le Grand Quoi(原題What is the What)』、フェミナ賞はグウェナエル・オブリ氏(38)の『Personne』が受賞。
●現金輸送車の運転手が1100万ユーロ盗む
11月5日10時ごろ、リヨン市で現金1100万ユーロを積んだ現金輸送車が消息を絶ち、数時間後に市内で車は空で見つかった。輸送車は添乗警備員2人が集金中に消えた。輸送会社のトニ・ミュシュラン運転手(39)が盗んで逃亡したと疑われており、盗まれた現金のうち900万ユーロが11月7日、同運転手が偽名でレンタルした乗用車の中で見つかった。車は盗難場所に近いボックス型貸駐車場にあった。運転手は国外に脱出したとみられており、インターポールが情報提供を求めている。
●ガストン・フロス氏、収監される
11月9日、ガストン・フロス上院議員(78)が仏領ポリネシア・タヒチ島で逮捕された。3日に上院が議員免責特権の解除を決めたため。同上院議員はポリネシアの電話郵便公社から10年間にわたって賄賂を受け取っていた疑いがもたれている。シラク前大統領と親密な同上院議員はポリネシア領土議会議長を務めるなど、1984年から20年間同地の実権を握っていた。数々の汚職容疑がかけられており、別件で9月に被選挙権剥奪を伴う有罪判決が下ったが、破棄院の判断が出るまでは議員職を保持。そのほか、11月2日には1996~2004年の架空雇用疑惑でも有罪判決を受けている。
●同性カップルの養子縁組を裁判所が許可
ブザンソン行政裁判所は11月10日、同性カップルの養子縁組を認める判断を下した。提訴していた女性カップルは10年前から養子縁組を申請していたが、ジュラ県議会は2度にわたって申請を却下しており、行政裁判所はこの却下を取り消した。この件に関しては欧州人権裁判所が2008年1月に、独身者による養子縁組をフランスの法が認めているにもかかわらず、申請者の性的志向によって差別するべきでないと、仏政府の非を通告していた。