●トゥーロン卒業証書事件で学長ら停職処分
トゥーロン大学で金銭と引き換えに入学資格や卒業証書を中国人留学生に譲渡した疑いが持たれている事件で、ペクレス高等教育相は10月19日、ラルシ・ウエスラティ学長と2人の副学長を6カ月の停職処分に処した。事件については教育省視学が調査を進めているが、学長らが大学総務部に圧力をかけて調査を妨害したとしてこの処分となった。同大学付属の企業経営学院の修士課程に登録するのに2000ユーロ、卒業証書を取得するのに5000ユーロを中国人留学生が支払っていた疑いが持たれており、3月に司法捜査が開始された。
●新型インフル予防接種キャンペーン開始
10月20日、新型インフルエンザA型H1N1のワクチン接種の全国キャンペーンが始まった。まず新生児・小児科や呼吸不全・ぜんそくなどの医療関係者向けに行われ、その他の人には11月初めから。ところが、医療関係者はワクチン接種に消極的で、開業医では50%、看護師では65%が接種しないと回答。一般国民でも接種したい人が9月には55%だったのが、最近の世論調査では17%に減少。9月以降の感染者数が大きく伸びていないために、危機感が薄れているためとみられている。また、ワクチンの副作用への懸念を抱く人もおり、23日にはグルノーブルの市民9人が予防接種の全国キャンペーンを「毒物投与未遂」として訴えた。
●AF社員割引チケット不正使用で14人逮捕
エール・フランス(AF)社員用の割引チケットを同僚の分まで取得して売っていた社員14人が10月20日、逮捕された。社員らはこの1年間に400枚の割引チケットを不正に利用し、総額120万ユーロの損害を与えたとされる。AFによると、同僚らの割引チケット137枚を友人らに売ったとされる社員1人が40万ユーロの損害を与えたとして解雇された。AF社員は家族なら無制限で、家族以外なら年に4往復の割引チケットを取得でき、予約すると半額、予約なしの場合(空席があれば乗れる)は正規料金のわずか10%。ところが、不正使用が増えたために7月からは家族のみの対象になった。
●アフガン難民3人を特別便で強制送還
カレ、パリなどで拘束されたアフガニスタン人不法移民のうち、亡命申請を却下された成人男性3人を10月20日に本国に強制送還したとベッソン移民担当相が21日明らかにした。7月の英仏合意に基づく共同送還措置の一環として、ロンドンから24人のアフガン人を乗せてパリを経由してカブールに向かう特別チャーター便で送還した。フランスは欧州人権裁判所の要請で、2005年以降、集団の強制送還を中止。今年10月のカレでの不法移民キャンプの強制排除の際にもアフガン人7人の強制送還を計画していたが、欧州人権裁判所が中止を要請していた。戦争状態にある国への強制送還は非人道的とする仏・欧州の30の市民団体は19日までに反対署名を1万人分集めた。
●サルコジ氏、EPAD総裁立候補を断念
サルコジ大統領の息子でオ・ド・セーヌ県議会議員のジャン・サルコジ氏(23)は10月22日、ラ・デファンス地区開発機関(EPAD)理事長への立候補を断念すると表明した。この件では8日に立候補が公表されて以来、大統領の息子の立場を利用したものという批判が起こり、野党が一斉に非難。ジャン氏は「そういう疑惑付きの勝利はほしくない」と立候補断念を表明して、騒ぎに決着を着けた。なお、同氏は23日、同県議会でEPAD理事に選出された。
●ドヴィルパン前首相に禁固18カ月求刑
ドヴィルパン前首相ら5人の被告がルクセンブルク金融機関「クリアストリーム」の隠し口座リスト捏造に関与したとされる裁判の公判が10月23日に終了した。偽造リストに名前を載せられた原告側の現大統領と被告の前首相が争う前代未聞の裁判に。検察は10月20日、ドヴィルパン前首相については、サルコジ大統領に対する虚偽告訴共犯罪で執行猶予付禁固18カ月と罰金45 000ユーロを求刑。主犯とされる欧州航空・宇宙EADSジャン=ルイ・ジェルゴラン元副会長には禁固3年(うち執行猶予18カ月)、同リストを作成したEADS元社員のイマッド・ラウ被告には禁固2年(うち執行猶予6カ月)を求刑した。判決は1月28日。
「くそっ、18カ月も!」と題された10月21日付リベラシオン紙の表紙。