購買力低下がフランス人の消費習慣を変えた!?

 仏世帯の可処分所得*中央値は27 150 ユーロ(月2260ユーロ、2006年)。家計の可処分所得は2008 年で前年比3.4%増ながらも、07 年の前年比5.2 %増に比べ伸びが鈍い。不況で給与や収入増が見込めないばかりか、昨年秋からの失業増で2009 年の世帯収入は減っていくだろう。収入停滞・減少に物価高が追い討ちをかけ、世帯の購買力が低下しているのは周知の事実。そのため、フランス人の消費習慣が変化しているという調査を国立統計経済研究所(INSEE)が2009年6月に公表している。数字は2008年までのものだが、この傾向は09年ではさらに顕著になりそうだ。
 08 年の家計消費は前年度に比べわずか1%増(02 ~ 07年は2.4 %増前後)。それは、所得の伸びよりも、物価高(物価上昇率は02年以降で最も高い2.8 %)の伸びのほうが上回るために、購買力が0.6 %しか伸びていないからだ(06~07年の伸びは3.1 %)。
 家計の消費内容の変遷を見ると、国民が何を買い控えているかがわかっておもしろい。08年度で、家計支出のうち食費は横ばい(0.1 %増)だ。食料品価格が4.9%(以下すべて前年比)も上昇しているからだ。パン・パスタは値上げが激しく(+ 5.7 %)ても消費は横ばいだが、値上がりした(+ 4.4 %)肉は買い控え(- 2.3 %)、野菜・果物も消費を控える(- 0.5 %)。アルコール・タバコ費は-0.8 %(価格は+ 3.7 %)、衣服費も- 2.3 %。住居・光熱費は家賃と電気・ガス値上げで+ 2.4 %。しかし、これは削れない。そうなると、家具・家電など設備費をカットするしかない(- 0.8 %)。交通費(- 2.3 %)も自動車購入(- 4.6 %)や燃料費(- 3.2 %)を抑える。電話・インターネットなどの通信費は価格が下がっているが支出は増えている(+ 2.9 %)。娯楽費の伸びは著しく鈍化(+ 2.1 %、07 年の伸びは6.5%)、ホテル・カフェ・レストランに費やすお金も- 0.7 %。
 つまり、食費は価格上昇のため肉を買い控えて、全体的に買う量を減らすか、ディスカウント店で買物をして対応。住居費はどうにもならないので、嗜好品購入や外出、外食を控え、家の装飾品や服や靴も買い控えるか、安いものを買う。車は燃料費も高騰して高くつくので、なるべく自転車や公共交通機関を利用するようにする。08年末に行われた世論調査によると、09年の家計支出を減らそうと考えているフランス人は69%。テレビ・カメラなどハイテク機器関連の出費をカットしようと考える人は52%、外食費は48%、旅行・バカンスは44%、映画など娯楽費は42%。逆に通信費や服、本やDVDなど文化関係費は維持しようと考えている人が過半数だ。(し)

家計消費・可処分所得の伸び率および貯蓄率の推移

*直接税・社会保険料を除いた所得