石油、石炭、天然ガスといった化石燃料への課税(「CO2税」)についての議論がかまびすしい。ロカール元首相が委員長を務める専門家委員会の答申がまもなく出され、7月末までには政府の方針が決定される予定だ。政府はCO2排出量を2050年までに現在の4分の1に削減するため、CO2税創設に向けて動いているが、経済危機でダメージを受けている家計や企業への負担をさらに増やすことには慎重論もある。
この新税が導入されると、ガソリンは1リットル当たり7サンチーム、ガスは1kW/h当たり0.85サンチーム値上がりする。その税収を「緑の小切手」の形で全世帯に同額(試算では130ユーロ)払い戻すというニコラ・ユロ財団の案も政府内で検討されている。ガソリンなどを多く消費した世帯は損をし、少なく消費した世帯には得になるという考えだ。一方、ラガルド経済相は新税税収分90億ユーロ(試算)の一部を廃止される事業税の穴埋めにしたり、社会保障掛金の軽減に充てるという経済振興案を提案。環境保護と経済効果の2つをねらうという目算だが、うまくいくかどうか。(し)