●病院改革への反対運動続く
4月28日、政府が進めている公立病院改革に反対して、医師、病院職員、看護婦ら1万人がパリでデモを行い、パリ公立病院の約半分の医師がストを決行した。政府による改革法案は、大学病院の理事長を国が任命、公立病院理事長の権限強化、過疎地への医師開業を促進する措置、公立病院の治療費制度を私立病院と同じにするなど。近年、公立病院は数々の改革によって予算を削減されてきたが、この改革案はさらに予算を締め付け、政府の監視を強化するものとして、医療関係者の不満が爆発。政府はそうした批判を受けて、5月12日から始まる上院審議で、公立病院理事会における医師定数を増やす修正案を提出する予定。またバシュロ保健相は治療費制度改革の2018年延期を表明している。
●デュードネの欧州議会選出馬に議論
反ユダヤ人発言で物議をかもしてきたコメディアン、デュードネの欧州議会議員選挙への候補リスト提出について議論が巻き起こっている。ゲアン大統領府官房長は5月3日、デュードネの出馬を禁止する法的措置の可能性を模索していると発言した。しかし、実際には現行法で出馬を阻止するのは難しそう。過去に何度か反ユダヤ主義発言で有罪判決を受けているデュードネは、4月末に欧州議会選への「反シオニスト」候補リストを最低5つは提出すると発言していた。
●ソシエテ・ジェネラルのブトン会長、辞任
4月30日付リベラシオン紙。
フランスの銀行王手ソシエテ・ジェネラルのダニエル・ブトン取締役会長(59)は、4月29日、辞職を表明した。1997年から2008年まで会長を、2008年からは取締役会長を務めたブトン氏は、辞職は個人的理由によるとしているが、2008年初頭のケルヴィエル事件(トレーダーによる49億ユーロ損失)や金融危機にもかかわらず、巨額のストックオプションを受けるなどして、大統領府からの辞任圧力が高まっていた。5月6日に開かれた同行の取締役会で、フレデリック・ウデア現社長(45)がブトン氏の後任に決まり、PDGに昇進する。同社長はサルコジ大統領が予算相時代の顧問。なお同行は7日、昨年第4四半期の黒字から今年第1四半期の2億7800万ユーロの赤字転落を発表。
●ギャンガンがフランス杯で優勝
5月9日、サッカーのフランス杯の決勝戦がサンドニのスタッド・ド・フランスで行われ、ギャンガンがレンヌを2対1で破って初優勝した。2部リーグのチームが優勝したのは1959年のルアーヴルに次いで50年ぶり2度目。ギャンガンはレンヌに先制点を与えたものの、ブラジル人エドゥアルドの連続2点で逆転勝利を収めた。
●新型インフルH1N1の感染者、13人に
フランスの保健省は5月11日、新たに2例の新型インフルエンザA型H1N1(豚インフル)の感染者を確認し、国内の感染者が1日の初感染者判明以来、計15人になったと発表した。感染者全員がメキシコか米国からの帰国者で軽症。国内における人から人への二次感染はまだ発生していないとしている。政府は7日から、メキシコに加えて米国からの着陸便の乗客・乗務員に対して、保留区域を空港に設けて検査を行っている。
●大学紛争に政府は強硬姿勢
ダルコス教育相は5月11日、大学封鎖を続ける学生にはディプロム(学業修了証)を授与しないと発言し、一部でささやかれていた無試験の単位取得の可能性はないことを強調した。また、少数の学生による封鎖のために大勢の学生が試験を受けられずに被害を被っているとして非難し、大学改革への抗議運動に対して強硬姿勢を示した。教育相によると、全国85大学のうち28校がキャンパスの一部封鎖などで正常に機能していない。大学改革への反対運動は昨年末から始まり、学生・教職員のデモやストが繰り返されたほか、断続的な学内封鎖に発展。政府側は大学教員の資格変更の見直し、教職員のポスト削減の2年延期など譲歩したが、抗議運動は収まらないままだ。