「アートは私を解放させてくれる。その価値が理解できないほどに自由になれる気がする」と、のたまうのはソフィー。新しい「作品」ができたから遊びにおいでよとお誘いを受けた。
その「作品」とは、アート誌やファッション誌のページで包まれた本を重ねて脚にしてしまったコーヒーテーブルのこと。しまっておいたお気に入りの雑誌のページたちをいったんグシャグシャにして広げ、もう見たくもない参考書や辞書などをそれで包み込み、脚にしてしまったことに意味があるらしい。
作り方は簡単。本と本を接着剤で固めて動かないようにして、ガラス板は近所のコンフォラマで購入。友人にプレゼントした前作品は、捨てようと思っていた勉強机。ラテン語辞書のページで丸ごと包み込みニスで固めてしまった。「机と辞書に新しい命を与えたってことよ」とニンマリする。
昨年末、英語の研修のために訪れたニューヨーク(初めての海外旅行!)で、ポップアートというものに触れ、それ以来とりことなっているのだ。厳格な両親のもと、学校の成績だけが自己表現の手段だった、アートどころか、テレビもマンガもない少女時代。両親の希望通り、名門エコール・ノルマルに入学して、若くしてアグレジェ(教授資格取得者)にもなった。すべての学業を終え、晴れて9月から英語の教師として、パリ郊外のリセに勤める予定の彼女。親元を初めて離れ、単身借りた小さなアパートで作品作りに没頭する。まるで、ちょっと遅めの反抗期を、彼女なりの方法で楽しんでいるかのようだ。(凛)