17区Général-Catroux広場に巨大な鉄輪のオブジェ〈Fer(鉄)〉が設置された。高さ5メートル、重さ5トンずつの鉄製の輪が二つ。奴隷の腕輪を形どったもので、トマ・アレクサンドル・デュマ将軍(「三銃士」のアレクサンドル・デュマの父親)にオマージュを捧げるものだ。
デュマ将軍はフランス貴族の父とアフリカ出身の女性奴隷の間にハイチで生まれ、父親に奴隷として売られ、その後買い戻されてフランスで教育を受けた。軍人となり、フランス革命の闘士、そしてナポレオン1世の軍で活躍したが、1802年の奴隷制復活によって軍を追われた。このオブジェはデュマ将軍の名誉回復を求める〈デュマ将軍友の会〉の署名運動によって実現したもの。作者のドリス・サン=アルシデ氏によると、第1の腕輪は奴隷制を表し、切られた第2の腕輪は奴隷の解放、ヒューマニズムの栄光を表している。堅固なオブジェは奴隷制の厳しさと、解放への力強い意思を示しているかのようだ。(し)