175cmの長身+岩石系のごっついお顔。だがパワーに満ちた外見とは裏腹に、素顔は謙虚で繊細な方との噂。女中、犯罪人、上流階級の夫人と何を演じても抜群の説得力を誇る女優ヨランド・モローに、2008年のフランス映画も相当お世話になった。セザール賞で台風の目となった『セラフィンヌ』では狂気に触れる田舎の画家に、ベルギー流ブラックユーモア満載の『Louise Michel』では暗殺者を雇う女性工員に扮し好演。09年もジャン=ピエール・ジュネの新作やセルジュ・ゲンズブールの伝記映画と、出演作が目白押しだ。
1953年ブリュッセル生まれ。勉強は苦手でも、ランボーを愛する文学少女だったという。「他人とのコンタクトが苦手だった。だから言葉の仕事である俳優を選んだの」。映画デビューはアニエス・ヴァルダの『冬の旅』。出演作に『アメリ』、『パリ・ジュテーム』など。もちろん自身のワンマンショー巡業から着想を得た初監督&主演作の『Quand la mer monte』も忘れ難い。今後、監督としての活動にも要注目なのだ。
しかし、一説によると「顔が怖い」と日本人には不評で、彼女の主演作は映画会社が手を伸ばしたがらない。嘆かわしい限りだ。日本人よ、樹木希林や室井滋は愛しておいて、なぜヨランド様じゃだめなの?(瑞)
