フランスでは、一人のコメディアンが今の社会の風潮を、派手なジェスチャーで面白おかしく語っていく〈One man show〉が大人気。こうしたコメディアンは、映画にも出演したり、テレビのトークショーなどでも大活躍。ジャメル、アンヌ・ロマノフなどと並ぶ今売れっ子の一人がフランク・デュボスク(45)だ。2005年に公開された映画『Camping』、2008年の『Disco』にも主演し、彼得意の、ちょっと時代遅れのマッチョで、気取って見せるがどこか決まっていない色男、というキャラクターを演じ、フランス庶民は大爆笑。デュボスクを観ていると、カフェのカウンターなどで一緒にパスティスを飲んだりする友人にからかわれているような気分になるからだろう。
1963年ルーアン郊外の貧しい家庭に生まれる。小さい時からスターになるのが夢だった。「誰も振りかえってくれないような若者だったから、いつかボクが存在しているということを見せつけてやろうと、心に決めていた」。20歳の時にルーアンの演劇学校に入り、映画の出演回数も少しずつだが増えていく。そして1999年に初めての〈One man show〉。翌年はテレビやラジオで大人気のルキエのトークショーにも招かれ、一躍スターに。「デュボスクは、自分の演じるキャラクターがグロテスクだと自覚してから、本当に面白くなった」と彼の友人は語る。ダニー・ブリアンやジェームス・ブラントを聴くのが大好きで、時間ができるとディズニーランド・パリにフィアンセと出かけていく。(真)