高齢、病気、近親者の死などであまり元気がないと噂される大プロデューサー、クロード・ベリ。しかし、世代交替を目論む息子トマ・ラングマンが、パパに負けない羽振りの良さで映画界に殴り込みをかけている。
トマは当然の流れのように、8歳の時にパパの作品で子役デビューした。『サンドイッチの年』、『愛されすぎて』の出演など、しばらく俳優業を続けたが、いつしかプロデュース業に興味を持つようになる。24歳で自身の製作会社を設立すると、すぐに人気BD『アステリックス』の映画化の道を模索。数年後には無事映画化にこぎ着けた。巨額な製作費をかけたシリーズ3作目『Astérix aux Jeux Olympique』で、ついにトマ自らメガホンをとるも評判は散々。だが現在、汚名を返上するように、彼のプロデュース作『Mesrine: L’instinct de Mort』と続編『L’Ennemi public numéro 1』が矢継ぎ早に公開中。70年代に実在したフランスの極悪ギャング、メリーヌを、ヴァンサン・カッセルの男臭い存在感を借りて、「ヒーロー」に仕立てたトマ念願の企画だ。
とはいえ、「悪」に憧れる彼の幼稚な感覚は、ドラッグや暴力事件で連行されてばかりの私生活に暗い影を落としてもいる。そしてパパラッチ誌で幸せそうな家族写真を公開し、イメージ操作を図っている。(瑞)
