●定年退職義務年齢を70歳に引き上げへ
国民議会は11月3日、定年退職義務年齢を70歳に引き上げることを含む社会保障財源法案を与党の賛成多数で可決した。それによると、41年間の年金保険料支払い期間を満たせば60歳から年金を受給できることは変わらないが、退職が義務となる年齢を現行の65歳から70歳に引き上げることで、満額年金を受給するために70歳まで働き続けたり、年金を受給しながら働くことが可能になる。ただし旅客機パイロットはこの年齢が65歳、客室乗務員は60歳、公務員はおよそ65歳となる予定だ。社会党など左派は強く反対しているが、今後上院での審議を経て成立すれば2010年から施行される。
●ロワイヤル氏の動議が党員投票でトップに
11月6日に行われた社会党の政策綱領を決める党員投票で、セゴレーヌ・ロワイヤル氏の動議が29%を得票してトップに立った。ベルトラン・ドラノエ=パリ市長とマルチーヌ・オブリー=リール市長がそれぞれ25%、党内左派のブノワ・アモン氏が19%。世論調査で優位に立ちオランド第一書記ら党内大物の支持を得ていたドラノエ氏が敗れたことで、党員は党首脳部に「ノン」を突きつけた格好。これによりロワイヤル氏は第一書記候補として党執行部の編成に取りかかる。14日から党全国大会が開催され、第一書記の選出は20日に行われる。
●農業従事者が全国でデモ
11月7日、全国農業経営組合全国連合(FNSEA)の農業経営者1万人~1万5000人が、購買力の向上を求めて全国でデモを行った。デモ参加者は、経営困難に陥っている農業経営者への政府の迅速な援助、農産物価格の大幅変動を規制する制度を農業者自ら構築できるようにすること、流通マージンを監視する機関を作ること、欧州で拡大の兆しのある青舌病のワクチン接種費用の酪農農家への援助を求めている。また、FNSEAは生産者価格が最近かなり下がったにもかかわらず、小売業者が小売価格を下げていないことも批判している。
●痩身薬で女性1人死亡
痩身薬を飲んだ女性が10月31日に死亡した事件で、パリの薬草販売人夫婦と仲介者の中国人3人が11月8日に逮捕された。32歳の被害者の女性は肺血栓で死亡した。問題のカプセル状の薬「ベスト・ライフ」には、食欲減退の効果があるとされるシブトラミンが配合されているが、シブトラミンは高血圧、肺高血圧を誘発するため危険とされ、フランスではこの成分を含む医薬品の販売が禁止されている。
●ゴンクール賞にアフガン作家
11月10日、フランス文学界の最高賞、ゴンクール賞の受賞作が決まった。アフガニスタン人のアティック・ラヒミ氏(46)の『Syngué Sabour』(ポル出版刊、ペルシャ語で「忍耐の石」の意)。植物人間になった夫の世話をする女性の話。ラヒミ氏は1984年に政治亡命で来仏。ペルシャ語で書いた第1作目『Terre et cendres』は映画化されて、2004年度カンヌ映画祭の「ある視点」部門で入賞した。また、フェミナ賞は3日、ジャン=ルイ・フルニエ氏(69)の、重度の障害を持つ自らの2人の息子を描いた『Où on va papa?』に贈られた。ルノドー賞は、ギニア人亡命作家ティエルノ・モネネンボ氏(61)の「Le roi de Kahel」に。
●SNCFの妨害行為で、極左メンバー逮捕
10月下旬以来、フランス国鉄(SNCF)に対する妨害行為が続いた件で11月11日、極左アナーキストグループのメンバー20人が、パリ、ルーアン、ムーズ県、コレーズ県などで逮捕された。このグループは、放射性廃棄物の鉄道輸送に反対するドイツの同様のグループと関係があるとみられている。10月26日のモーゼル県ヴィニを皮切りに、11月8日にはオワーズ、セーヌ・エ・マルヌ両県、9日にはナルボンヌでセメント補強用の鉄線が電車の架線に取り付けられたり、線路に30キロ近いセメントの塊が置かれたりした。この妨害行為によってTGV、タリス、ユーロスターなど150本が大幅に遅れ、数千人の足に影響が出た。