日本人女性にとっては、限りなく白く、シミ・シワひとつなく、毛穴がまったく目立たない磁器のような、ツルツルの肌があこがれのようだ。それに反しフランス人は、こんな肌を、なんの経験も刻まれていない味けない肌と言い、そんな肌は、人生を楽しく生きてきている人にはありえないとまで言ったりする。目の下のクマだって生活しているあかしなのだそうだ。こんがり日に焼けて、ソバカスやシミが少しくらいあったって、大きな笑顔と同時に額や目元にしわが寄ったってかまわない。おしゃべりとともに筋肉の動きが生き生きと見えるような肌、そんな肌がフランス人には魅力のようだ。
そのせいか、お肌のお手入れも日本人に比べていたってナチュラル指向。おいしいものを食べて飲んで、楽しくおしゃべり。フランス人には〈今を楽しく生きる=美肌〉という図式があるのだろう。日本にくらべて化粧品も自然派やセラピー系のものが多い。日本人のようにレーザーなどを使ってまで手入れをすることは、激しすぎると控えるようだ。とはいえ、ご存じのようにフランスは、各種美容器具の開発や、化粧品の大国でもある。ではどんな肌がフランス人にとっての悩みの種になっているのだろうか?
それはやっぱり肌のたるみ。どちらかというと彫りの深い顔だちの多いフランス人、顔の部分整形をする人は日本人より少ないようだが、たるみを防いで肌のはりを再現することへの執着はかなりのものだ。ボトックス注入に頼る人も少しずつ増えている。フランスの男性だって肌のたるみは気になるようだが、肌年齢を実年齢より若く見せることに重きをおかないせいなのか、「まだその年齢ではない」とか「40歳になったら」とか、肌の手入れは、どちらかというと実年齢相応のゆっくりペースだ。(有)