オヴニーが大好きなジョアン・スファール。『Le Chat du Rabbin』や『Petite Vampire』を紹介してきたが、今回は、夏休み、大人も子供も楽しむことができる『La Vall仔 des Merveilles』です。
島に朝が訪れる。まだ夢を見ている美しい妻のために、よちよち歩きの息子と海にもぐって魚を捕るたくましい男「ハチミツ壺」。娘はサルと朝のダンス。目覚めた妻が「ねえ、狩りに行って!」、「優しくしてくれる?」、「多分ね」…。
「ハチミツ壺」は「よくきく大鼻」と狩りに出かけ、大トカゲを退治し、ヘビの木に登り、世界は滅びると絶望するまじない師に会い、がけの上で生けにえにされそうな女と子供を救おうとし、イルカとたわむれ…最後には菜食主義者になってクルジェットを栽培し始め、エミールとフランクに改名した二人の友人のごちそうを味わう。
子供を寝かせつけようと話を聞かせているうちに、こちらも眠たかったり酔っていたりで、どんどん話が脱線していくような語り口がいい、親近感をおぼえる。イルカやサルだけでなく、カメやフラミンゴ、ワニなど、出てくる動物たちが、かわいくなくて、みんな生き生き、おいしそうだ。
クルジェットの種とファルシを持って家族のところに戻る二人の目の優しさ! 28頁と29頁に、少々きわどい性談義があるので、10歳くらいから?(真)