「大統領の意見には同意できない。そのことは大統領にはっきりと伝えてある。公営テレビ局と民放テレビ局の間に違いがないというのは、間違いだし、極めてばかげた考えだし、まったく公平ではない。3年来、私たち〈フランス・テレビジョン〉は、国民に認められるような番組作りに励んできた。(…)テレビのプロに任せてもらう方がいいのだ」
7月2日、フランス・テレビジョン総裁パトリック・ド・カロリス氏。前日サルコジ大統領が、公営テレビからCMを排除して、あまりに民放テレビに近い公営テレビの番組を、「広告の圧制」から解放して改善したいと発言したことへの反論。
「(フランス・テレビジョンの代表たちに)以前と同じ予算を割り当てると繰り返し言っているのに、彼らは改善を試みるかわりに不満を言うことだけに時間をつぶしている。カロリスは、あんな発言で周りに被害を出してはいるが、勝ち目はない。数週間、数カ月後、彼なしに人生は続いていく」
カロリスの発言に応えて、クリスチーヌ・アルバネル文化相。
36%
7月2日から3日にかけてパリジャン紙が行った世論調査によると、サルコジ大統領の支持率は、カルカソン事件やフランス・テレビジョンに関する強硬発言が災いしたのか、6月より3%落ちて就任以来最低の36%。女性の支持率はわずか33%。ベタンクール氏釈放後の演出も役に立たなかったようだ。
DICO
●Union européenne
(ユニオン・ユロペエンヌ 名詞)
欧州の27カ国が加盟している欧州連合はフランス語で “Union Européenne”。だから略称は “EU” ではなく “UE”。形容詞が後にくるイタリア、スペイン、ポルトガル、ルーマニアなどでも “UE”。加盟国の首脳からなる欧州理事会は “Conseil européen”。欧州連合の政策を実行に移す欧州委員会は “Commission européenne”。加盟国市民の選挙で選ばれた議員からなる欧州議会は “Parlement européen”。(真)
●トゥールーズ、17度目のチャンピオンに
優勝の立役者の一人、バイロン・ケラー。
6月28日、スタッド・ド・フランスで、ラグビーフランス選手権の決勝が、トゥールーズとクレルモン=オーヴェルニュの間で争われた。両チームそれぞれ2トライの熱戦が展開されたが、ラインアウトなどでクレルモンのエラーが目立ち、トゥールーズが26-20で逃げ切り、7年ぶりに17度目のチャンピオンの座に。クレルモンは9度目の決勝戦だったが、今回も初優勝はかなわなかった。
●警察署の真ん前にチキンのテイクアウト
6月30日、カンヌ市の中央警察署前にローストチキンのテイクアウト店がオープン。それだけなら問題はなさそうだが、チキン〈poulet〉という語は、警察官をいささか軽蔑して呼ぶ時の俗語なので、話題になっている。それに輪をかけるように看板には〈police nationale 国家警察〉をもじって〈rôtisserie nationale 国家ロースト店〉とあり、サービスする人たちも、警察の夏の制服に似た青のユニフォームで、帽子には〈police〉のかわりに〈poulet〉。さすがに当警察署の署長は、制服では買いに行かないようにとお達しを出したが、私服で味見に出かけた警察官たちによると、なかなかの味だという。
●カルカソンヌの軍事演習で負傷者17人
6月29日、オード県カルカソンヌ市にあるフランス海軍空挺部隊の基地で、一般公開で,行われた軍事演習中に、某軍曹(28)が、二つ目の弾倉に空弾ではなく実弾が入っていることに気づかず自動小銃を発砲。子供5人を含む17人(うち2人は軍人)が重軽傷を負った。その後の取り調べで、軍曹は10日前に行われた実弾を使った軍事演習後、弾倉を返し忘れていたと自供。サルコジ大統領は早速同基地に赴き「避けられなかったで済ますわけにはいかない。(…)許しがたい手落ちがあり、処罰されなければならない。発砲した者だけでなく、彼の上官、またその上官とすべての責任が問われなければならない」と発言。指さされて「あなたたちは素人だ。プロではない」と糾弾された、陸軍参謀長のブルーノ・キュシュ元帥は、7月1日辞表を提出し受理された。
(*エルヴェ・モラン国防相、そして全軍を統率するサルコジ大統領自身の責任はどうなるのかな?)
●イングリッド・ベタンクール氏釈放
7月2日、コロンビア国軍の特殊部隊が、コロンビア革命軍(FARC)の捕虜救出作戦を決行し、イングリッド・ベタンクール氏を含む15名を解放した。イングリッド・ベタンクール氏(46)はコロンビアの政治家で、緑の党の大統領選挙候補としてキャンペーン中の2002年2月23日、FARCに誘拐されたまま、6年半の捕虜生活を送っていた。最初の夫はフランス人でメラニーとロレンゾの二人の子供をもうけ、フランス国籍も持つ。誘拐されて以来、ベタンクール支援運動がフランスで盛り上がり、シラク前大統領、サルコジ大統領も彼女の救出を外交の優先事項として扱ってきた。救出直後、サルコジ大統領は、二人の子供などベタンクール氏の家族をエリゼ宮に招き、「私たちフランス国民はあなたの勇気を誇りにしている、とイングリッドに伝えたい」と賛辞。
●サルコジ大統領、第2のEPR建設にゴー
2012年運転開始予定の第3世代原子炉EPRの建設が、ラ・マンシュ県フラマンヴィルで2006年8月から開始されていたが、コンクリートにひびが入ったり溶接の強度が規格に達しなかったりで、5月26日から6月17日まで建設が全面的に中断された。環境保護団体からEPRの安全性についての批判が高まっている中、6月3日、ソーヌ・エ・ロワール県ル・クルゼの製鉄所を訪れたサルコジ大統領は、第2のEPRを建設する意思を表明し、「イランを含む」世界各国が原子力発電所を所有できるようになるべきだ、と発言した。
●病院の火事で3人が死亡
7月6日19時ごろ、アルザス地方オ・ラン県のミュルーズ市郊外にある病院の3階ランドリーから出火し、70歳以上の患者3人が窒息死した。出火の原因はまだわかっていない。