「野党が存在しなくなった国だから、マスコミが野党の役割をすることになる。(サルコバッシングの)理由はイデオロギー的というより、商業的なものだ」
大統領に選ばれて1年目の翌日、どの世論調査でも支持率が下降していることに腹を立てたサルコジ大統領の発言。
「どうやってもサルコジ大統領は変わらない。大統領にとって、世論調査で難しい状況にいることも、彼に対して国民の不信感が高まっていることも、すべてマスコミのせいになってしまう」
フランソワ・オランド社会党第一書記。
8560人→1150人
5月5日に、フランスの繊維メーカーDMCがパリ商業裁判所の司法再建管理下に置かれることが決定した。DMCは18世紀にミュルーズ市で創業し、1970年代には1万6000人の従業員を抱えていた。ここ15年はアジアのメーカーに押され、1996年には8560人いた従業員は現在1150人。業績不振が続き、2006年度営業利益は2228ユーロの赤字だ。
D I C O
●délit(デリ 名詞)
軽い暴力や無免許運転、引ったくりなどの軽犯罪のことは “délit” といい、”tribunal correctionnel(軽罪裁判所)” で裁かれる。強盗、誘拐、性犯罪、殺人などの重罪は “crime”という範疇に入り、こちらは “cours d’assises(重罪院)” で裁かれる。重罪院の最終的判決は、一般市民からなる “jury(陪審)” が下すことになる。重罪院の判決に対して “appel(控訴)” することはできなかったが、2001年1月1日から控訴できるようになった。
5月6日は、サルコジ大統領が選ばれてちょうど1年目。パリのサル・ガボーで、1周年を祝う集会が開かれ、フィヨン首相をはじめとする閣僚、民衆運動連合UMP幹部、2000人の新党員が集まったが、支持率が40%以下に落ちている大統領は、大統領顧問のアドバイスで欠席。その一方、パリ・マッチ誌の表紙には愛妻カーラと並んで仲むつまじくポーズ。「フランスの王様と王妃様」という陰の声も。
●モリエール賞の演出賞にマルコヴィッチ
第22回モリエール賞(演劇賞)の授賞式が4月28日に行われた。『La Vie devant soi』が民営劇場賞、女優賞(ミリアム・ボワイエ)、脚本賞、『Roi Lion』がミュージカル賞、衣装賞、照明賞を獲得。また、『Good Canary』(ザック・ヘルム脚本)で米俳優のジョン・マルコヴィッチが演出賞を受賞した。また、85歳にして初めて『Les Chaussettes, opus 124』で男優賞を受賞したミシェル・ガラブリュに喝采が送られた。
●移民省高官の暴言に警備員が提訴
4月30日付カナール・アンシェネ紙が報じたところによると、大型商業施設〈ベルシー2〉の警備員が移民・国民アイデンティティ省の高官を相手取って訴えを起こした。訴状によると、同省のゴチエ・ベランジェ副官房長がハイパーのカルフールで500ユーロの商品を小切手で支払おうとしたので、規定通り警備員が身分証明書をチェックしようとしたところ、ベランジェ副官房長は「汚い黒人め! おまえは不法滞在者だし、身分証明書を偽造しているだろう。私を誰だと思っているのか。おまえのキャリアはこれで終わりだ」とののしった。ベランジェ副官房長の弁護士によると、本人はその発言を否認している。
●同性愛結婚で喪失した仏国籍を回復
オランダで同性愛結婚をしてオランダ国籍を取得したために、フランス国籍を失った男性(37)が、2009年に国籍が回復される見通しになった。この男性は、2003年にオランダ人男性と結婚し、2006年にオランダ国籍を取得。ところが昨年5月の大統領選挙のためにフランス大使館に赴いたところ、内務省に書類が送られて同年末にフランス国籍を剥奪された。両国間の国籍協定により、結婚の場合は二重国籍を認められるが、フランスでは同性愛結婚が法的に承認されていないために国籍剥奪となった。しかし、この問題が雑誌などに掲載され、野党や同性愛者団体などから非難の声が上がったため、移民省は5月2日、同件を法務省と外務省に委任。法務省は国籍協定を変更しつつあり、2009年3月以降にこの男性がフランス国籍を回復するための手続きを取れるようになると明らかにした。
●モスケ・ド・パリ、CFCM選に不参加表明
フランス最大のイスラム教徒団体〈グラン・モスケ・ド・パリ(GMP)〉のブバカー代表は5月3日、6月に行われるイスラム教徒評議会(CFCM)評議員選挙へのGMPの不参加を表明した。GMPは、CFCM選挙の前に行われる地域圏イスラム教徒評議会選挙において、評議員定数がモスクの総面積によって決まるのが不当であると主張。GMPは連盟代表を維持できるなら、CFCM選挙に参加するとしている。CFCMは2003年にサルコジ内相(当時)が強制的に設立した機関で今回の内紛でさらにその信頼性が揺らぎそうだ。
●〈妥当な求人〉の定義に、労組反発
経済・雇用省が策定した、求職者が受け入れるべき〈妥当な求人〉の定義案をレ・ゼコー紙が5月5日に報じた。それによると、求職者が受け入れるべき〈妥当な求人〉とは、最初の6カ月間は、自分の希望する通勤圏内で前職の給与の95%以上(最初の3カ月は100%)の場合とし、6カ月を超えると自宅から1時間以内の通勤圏で前の給与の80%以上、1年を超えると失業手当(大抵は前職給与の57.4%程度)以上の給与とされる。この基準に当てはまる求人を2件断った場合には2カ月間、求職者リストから外され、失業手当を中断される。この案は近く失業手当関連法案に盛り込まれる予定だが、労組はこの定義に猛反対している。