豚のほほ肉をハチミツ風味で煮込んでみた。

Joues de porc au cidre et miel

 624号の臓物料理特集で「とろけるような肉質に、ほどよい脂身が溶け合って、ほっぺたも落ちるおいしさ」と書かれていた牛や豚のほほ肉。最近脚光を浴びている食材で、はやりのビストロでも赤ワイン煮などになって登場し、臓物屋だけでなく普通の肉屋でも売られるようになってきた。それにキロ10ユーロ前後と安い。今回は、豚のほほ肉をシードルで煮込む。豚肉には甘酸っぱい風味が合うので、ハチミツやリンゴも加える。ハチミツは香りが強くないもの、リンゴは酸味が強いグラニー種の青リンゴがおすすめ。
 豚のほほ肉の余分な脂や、肉の一部を包んでいる薄皮をのぞいた方がいいだろう。ココット鍋にバターとオリーブ油をそれぞれ大さじ1杯とり、塩、コショウしたほほ肉を強火で炒め、きれいな焼き色がついたら取り出す。鍋は洗わず、薄くせん切りにした玉ネギを入れ、今度は中火でくたっとなるまで炒める。肉を戻し、さいの目に切っておいたリンゴを加える。さらにハチミツを全体に絡めるように入れ、小麦粉を振りかけ、かき混ぜながらもうしばらく炒め、辛口のシードルと子牛やトリガラのだし(面倒なら水でも構わない)を注ぐ。シードルのかわりに、ベルギー風にビールにしてもおいしくできる。木のヘラで鍋の底についているうま味を溶け込ますようにし、沸騰してきたら弱火に落とし、輪切りにしたニンジン1本、パセリ3、4本を結わえたもの、ローリエの葉を加える。塩、コショウで軽めに味付け、フタをして煮込んでいく。
 時々かき混ぜながら1時間40分ほど煮込んでいくと、ほほ肉はすっかり柔らかくなり、ソースもトロリ。パセリを取り出し、塩、コショウで味を調える。酸味が足りなかったら、シェリー酒ビネガー少々を加えたい。最後にきざんだパセリをたっぷり散らす。
 付け合わせに、皮付きのまま蒸した新ジャガがあったら文句なし。さらりと炊いた長米riz longのごはんにも合う。ワインは、サンタムールのようなボージョレのまろやかな赤ワインが合うだろう。(真)

豚のほほ肉1キロ、玉ネギ1個、リンゴ1個、辛口シードル500cc、子牛やトリガラのだし200cc、ハチミツ大さじ1杯、パセリ、ローリエの葉2枚、バター、オリーブ油、塩、コショウ

 

 


●joue ほほ肉
牛のほほ肉joue de bœufは豚のそれよりは大きいので、切り分けてから調理。ブッフ・ブルギニョン(赤ワイン煮)にするとうまい。子牛のほほ肉joue de veauはブランケットがいいだろう。

タイとかカレイとか、魚のほほもおいしい! 最近は魚屋でアンコウのほほjoue de lotteが売られているのがとてもうれしい。骨がないので、魚嫌いの子供たちにもおすすめ。しばらく前に書いた南仏風をぜひ試してほしい。「ほほの両面に塩、コショウし、フライパンにオリーブ油をとって、ニンニク4片と一緒にさっと軽い焼き色がつくように炒めたら取り出す。白ワインを加えて魚のうま味を溶け込ませたら、あらかじめ作りおきしておいたトマトソースを加える。塩、コショウで味を調える。しばらくぐつぐつさせたらアンコウのほほを戻し、ふたたびぐつぐついってきたらでき上がり。最後に刻んだバジリコを散らす」。トマトソースのかわりに、ココナツミルクとカレーペーストを加えれば、おいしい魚カレー。

 

 


 

●ハチミツ
 フランスの旅先で出くわした朝市で、その土地、その町名物のハチミツを買うのは楽しいことだ。ハチが蜜をあさった花や木によって、色、香り、味、固さが違う。クローバーtr叔leは白っぽく柔らかな味、アカシアacaciaは明るいワラ色で流れるような液状、ヒースbruyèreは赤みがかって香り高い、ラベンダーlavandeはこはく色でラベンダーの香り、ソバsarrasinは濃褐色でソバ粉クレープのよいお供、栗の木châtaignierも濃褐色で独特の風味、モミsapinは黒っぽくかすかにヤニ風味。朝食のトーストに塗ったり、紅茶などに入れるだけでなく、それぞれのハチミツの香りと味を生かしてさまざまな料理にも加えたい。(真)