アンドレ・デュソリエは2番手、3番手の俳優だが超売れっ子。彼が初めて一枚看板で主役を張るのが『Cortex』。![]() 監督のニコラ・ブークリエフは、前作の『Le Convoyeur』(邦題『ブルー・レクイエム』)でも、素材(現金輸送会社に就職する男の秘密)の料理の仕方の上手だった敏腕監督。とにかく映画製作本数が過剰で毎週10本以上の作品が公開される中、何を観ようか迷ってしまうが、本作は「入場料返せ失敗した」とは言わせないことを保証します。あと、1月23日に公開されたもっともっと地味な映画で『57000km entre nous』というのも最近の掘り出しもの。アンチ大作派の方におすすめ。(吉) |
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Sandrine Bonnaire (1967~)
11人兄弟の7番目に生まれたサンドリーヌ・ボネール。中学生のころ、家族に付き添った映画のオーディション会場でモーリス・ピアラに見いだされ、映画『愛の記念に』のヒロインに抜擢される。「演じるためには演じるな」のスパルタ演出に戸惑いながらも、16歳でセザール有望若手女優賞を獲得。その後もピアラ作品を筆頭に、ヴァルダ、リヴェット、テシネ、ルコント、シャブロルなど名監督作品に出演。演技派としての実績を重ねながら、女優として、思春期から大人の女性へソツなく移行することに成功した。 |
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●Elle s’appelle Sabine 俳優がみな監督になりたがる国フランス。その多くが、自身のアーティスト欲を満たしたいが上での行動に見えてしまうのに対して、サンドリーヌ・ボネールの場合は事情が違う。使命感が彼女を突き動かし、自閉症である一歳年下の妹サビーヌにカメラを向けたのだった。不安に苛まれ、時に凶暴な振る舞いさえ見せるサビーヌ。ここにきれいごとはない。繊細な美しさで輝いていた昔の妹の映像や、理性がきかない妹につい苛立ってしまうようなボネールの姿に心が痛む。5年間の精神病院での生活で、心は荒廃し、体もかつての面影を失ってしまったサビーヌを通し、この国の医療システムを、静かな怒りを込めて告発する。(瑞) |
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