大自然バカンスにさようなら。 N° 617 連載コラム 2007-09-15 バカンスといえばフランスでは「田舎で自然を満喫」が王道のようだ。私も最初のころはジルの家族にくっついて、ハイキングなどを積極的に楽しんでいた。もともと都会派もやしっ子なので、物珍しさもあった。だがそれが5年以上も続いたころから、だんだんと大自然バカンスが苦痛になってきた。ジルとジルパパはスポーツマンなので、とにかく山歩きもスパルタ式。息も絶え絶えになってはうように歩く私の姿は、悲惨極まりない。加えて、妙に絆が深いジル・ファミリーが超早口で昔話を交え盛り上がっていると、自分がいつまでたってもお客さんでしかないと情けなく、疎外感さえ感じてしまう。特にミラが産まれた後は、自分が単なる「子守りのオバさん」そのままに思え、悲しくなった。 ところがジルと別れたために、今年の夏は堂々と居残り組になることができた。ミラはジルの家族と2週間、南仏の山小屋に出かけた。その間ミラに会えないのは寂しく、思わずミラをしのんでキティちゃんのお椀でご飯を食べてしまったこともある。だが基本的には、パリの町で不健康なテキトウ生活をしている方が、ずいぶんと精神的に健康であった。そんなことをママ友に話したら、「実は私もフランス人ファミリーにつきそうバカンスが苦痛で…」と告白された。夫がフランス人の在仏日本人ママは、似たような思いを抱えているのかもしれない。(瑞) Recommandé:おすすめ記事 ミラとバカンスに出発した。 当たり前、とは限らない。 限りなく義務に近い寄付。 重過ぎるカルターブル。 スポーツウェアで登校。 ミラがラブレターをもらった。