エポワスは、ナポレオンが好んで食べ、美食家ブリヤ=サヴァランが「チーズの王様」と讃えたという、ブルゴーニュ産のチーズ。牛乳から作られ、塩水で表
面を磨きながら熟成させていくウォッシュタイプのチーズだが、エポワスは、その塩水にブルゴーニュ名産のマール酒も入るという極上品。これからが食べごろ
だ。
直径10センチ、厚さ4センチほどの小型のチーズで、薄いレンガ色の表面はなめらかで光沢がある。身は薄いクリーム色で、弾力のある柔らかさを持ってい
るが、秋になって熟成が進むと、ナイフを入れただけで溶け出しそうなほどにとろとろとなる。味はノワゼットやキノコの風味を思わせどこまでもまろやか。鼻
をつくかなりの匂いもちっとも気にならなくなり、病みつきになってしまう。若いエポワスを1カ月ほど灰かぶりの状態で熟成させたエジ・サンドレAisy-
cendrésというチーズもある。
ワインはやはり贅沢をして、こくのあるブルゴーニュの赤がほしい。(真)