安い七面鳥の胸肉で団子を作ってみよう。

Boulettes de dinde

 七面鳥の胸肉escalope de dindeは安いだけでなく、脂肪分も少なく健康にもいいので、わが家の食卓に10日に一度くらいは登場している。ただ、注意して調理しないと、ぱさぱさっと味気なくなってしまう。子牛肉のように薄く切ってフライにするのがいちばんだが、今回はミンチにしてから団子にし、南仏風に煮込んでみよう。
 七面鳥の肉は小さく切り分けてから挽く。食パンpain de mieは耳を切りはずしてから細かなさいの目に切る。タマネギもなるべく細かなさいの目。パセリあるいはコリアンダーの葉はみじん切り。
 以上をボールにとり(ただしタマネギは半個分のみ)、おろしておいたショウガも加え、塩、コショウ。割りほぐした卵1個も加えて、手で丹念に混ぜ合わせる。ボクは、七面鳥の肉だけではあっさりしすぎると思うので、アンチョビーをみじんに切って加えることにしている。この場合、塩は控えめすることが大切だ。これを手で丸めて一口大の団子にし、小麦粉を軽くまぶす。厚い鍋や大きなソトゥーズに油をとり、中火で、この肉団子を2度くらいに分けて色よく炒め、取り出す。
 使った油は捨て、新たにオリーブ油を大さじ4杯ほどとり、残りのタマネギを炒める。透き通ってきたらみじん切りのニンニクを加える。軽く色がついてきたところで、缶詰のトマトと小さく切ったセロリ、砂糖少々を加える。ぐつぐついってきたら肉団子を戻し、ひたひたになるようにトリガラのスープ(なかったら水)を張り、塩、コショウ。タイム、ローリエの葉も加え、沸騰してきたら弱火に落とし、ふたをして30分ほど煮込んでいけばできあがりだ。最後にきざんだパセリをたっぷり散らしたい。
 付け合わせはごはん。ポレンタやパスタも合う。ワインは南仏産のロゼ。(真)
七面鳥の胸肉500グラム、タマネギ2個、パン1切れ、セロリ1本、卵1個、〈Pulpe de tomates〉タイプのトマトの缶詰400グラム~600グラム、好みでアンチョビー8尾、ニンニク4片、タイム3枝、ローリエの葉1枚、パセリ半束、小麦粉、オリーブ油、塩、コショウ。


●トマトの缶詰さまざま
 こちらのスーパーにはさまざまなタイプのトマトの缶詰が並んでいる。
 ホールタイプの水煮缶詰tomates entières pelées au jusは、パスタ用のトマトソースを作る時などに欠かせない。オリーブ油で、きざんだタマネギ、ニンニクを加えてからこの缶詰の中味を加えるのだが、半分ほどになるまで煮詰めなくてはいけないので、4人分で少なくとも大缶ひとつは必要だ。煮ている最中に、トマトの形がきれいにくずれるように木のヘラでトマトを押しつぶした方がいい。初めからおろしにかけてしまう人もいる。
 tomates concasséesあるいはPulpe de tomatesというのは、水煮されたトマトがすでにさいの目に切ってあるから、おろしたり、煮ている最中に押しつぶしたりする必要がない。というわけで今回の右欄のレシピでも使用しています。ホールタイプよりは控えめの量でいい。
 トマトのピュレCoulis de tomatesはパックで売られていることが多い。これだけだとトマトの優しいうま味に欠けるので、例えば、ホールタイプの水煮などと半々にするといいだろう。
  Double concentré de tomatesというトマトピュレの濃縮タイプは、少量でトマト味が付くので、マヨネーズやクリームソースに少量加えたり、カレーやクスクスのかくし味に使ったりする。

 

●コルドン・ブルー
 子供たちの大好物コルドン・ブルーを七面鳥の胸肉で作ってみよう。胸肉は人数分薄く切ってもらう。さらに包丁を横に入れて開き、塩、コショウ。ここにハムと薄く切ったエマンタルチーズを置いて肉ではさむ。小麦粉をまぶし、溶き卵を通し、パン粉をまんべんなく押しつけ、フライにすればコルドン・ブルー。付け合わせはフライドポテト。熱いチーズが糸を引いて、子供たちから歓声が上がる。彼らはトマトケチャップをかけて食べることが大好きだが、ボクらはマスタード。 F R O M A G E
●Tomme de Savoie
 トム(tome、tomme)はチーズの代名詞といってもよく、フランス各地で、原料も牛、羊、山羊の乳とさまざまに作られている。その中でも、サヴォワ地方の山地で放牧されている牛の乳から作られているトムは素晴らしい。
 作り方も風味も、548号で紹介したサン・ネクテールと似通っているが、トム・ド・サヴォワの方が、熟成期間が1カ月から3カ月と長いこともあり、皮は灰色がかって厚く、身はサン・ネクテールほどの弾力をはないが、ゆっくりと噛みしめていると、ハシバミの実とキノコが混じり合ったような風味が広がっていく。クミンの粒々を振りかけて食べれば違ったおいしさを楽しめる。直径約20~30センチ、高さ5~8センチほどの大きなチーズなので、好みの大きさに切り分けてもらって買ってくるが、皮にひびが入っているものとか、身がざらざらしているようなものは避けること。ワインはサヴォワ地方の赤がおすすめ。(真)


●Tajines, un murmure d’oasis
 マグレブ諸国で使われている三角帽の形をした土鍋がタジン。この鍋を使って調理すると肉も野菜もふっくら柔らかく煮上がる。むずかしいのは、さまざまなスパイスの加減や、各種の肉と野菜の取り合わせ。それが、この一冊でプロになれそうだ。子羊肉のタジンだけで20種類くらい出てくるし、パリでは無理だけれど、ラクダ肉のタジンまである。野菜だけを使ったタジンもおいしそう。他の本には出ていない、イワシ、イカ、エビなどを使ったタジンが出てくるのも楽しい。(真)