フランス南西部、ベアルン地方のオッソー渓谷やバスク地方のイラティ山塊で放牧されている、黒や褐色の頭をした羊の乳から作られているチーズがオッ
ソー・イラティ。小規模のチーズ業者によって丁寧に熟成されている羊チーズの代表格だ。直径20〜30センチ、高さ7〜15センチくらいの大型チーズなの
で、好みの大きさに切り分けてもらって買ってくる。
クリーム色がかったなめらかで固い皮、美しい象牙色のしなやかでいながら締まった身。なるべく薄く切ってから口に入れてじっくり味わっていると、羊チー
ズならではの、どこか優しい甘さを持った独特の風味が広がっていく。バスク料理のレストランへ行くと、デザートとして黒サクランボのジャムといっしょに出
てくる。ワインは、同じ地方のイレルギーとかマディランのこってりとした赤が合うだろう。キロ25ユーロ前後で「高い!」気もするが、濃縮された味だから
少量で満足できる。(真)