第三世界の小規模な生産者から適切な価格で商品を買い取り、中間業者を通さずに輸入し、適正価格で販売。金銭的援助ではなく貿易で、第三世界の持続的発展を促す。
コーヒーのように、価格が国際取引市場で決められると、小農民は、価格が暴落したときに生活ができなくなる。フェアトレードでは、一定価格で買い取るので、こうした不合理が解消され、生産者の自立が保証される。地元の人々が持っている技術を利用して、貧しい地域に新たな雇用を生み出すこともある。生産者団体が得た利益は、設備投資や、地元の病院、学校などの建設、子供の教育や住民の福利・厚生に使われる。生産や加工のときに環境を破壊しないことや、製品の品質が良いことも重要。
フェアトレードは誰がやっているの?
NGOや企業。最初はNGOで、次第に企業になったところも。フェアトレード企業だけでなく、一般企業も参入している。セリオや通販のラ・ルドゥットは、今年からフェアトレードコットンの製品を始める。スーパー、ハイパーマーケットには、独自の食品ブランドをフェアトレードで出しているところもある。
認証ラベルはあるの?
NGOのマックス・ハベラーが認証団体として有名。生産行程をチェックして、合格したらマックス・ハベラーのラベルを与える。ビオ(有機農産物)に付く「AB」マークのフェアトレード版といえばわかりやすいかもしれない。ただ、認証にかかる費用は生産者が払わなければならない。その資金がないなどの理由で、ラベルが付いていないフェアトレード商品も多い。ラベル付きの製品の種類は、フランスでは食品の一部とコットンに限られているので、ラベルがなくても信用できるものはたくさんある。
フェアトレードにはどんなものが?
食品では、コーヒー、紅茶、ジュース、スパイス、チョコレート、砂糖、ジャム、クッキー、米、はちみつ、パスタなど。衣類では、Tシャツ、スカート、パンツ、下着、ジャケット、帽子、手袋。アクセサリー、スカーフ、バッグ、スポーツシューズも。インテリア商品では、シーツ、クッション、ベッドカバー、カーテン、家具、花瓶、ろうそくなど。テーブルウェアでは、コーヒーカップ、グラス、サラダボウル、ティーポットなど。おもちゃやぬいぐるみもある。最近は化粧品も登場。フェアトレード商品には、生産国が明示してあるのが特徴。
フェアトレード商品はどこで買えるの?
フェアトレード専門店、「ビオコープ」のようなビオの店、スーパーやハイパー、ビオの見本市。
フェアトレードとビオはどう違うの?
フェアトレードで大切にするのは、労働者を搾取しない、児童労働をさせないなどの労働条件と、製造過程の透明さ(トレーサビリティ)。ビオでは、労働条件には関係なく、畑で農薬や化学肥料を使わず、加工には有害な添加物を使わないという、生産方法を重視する。ビオでフェアトレードのものなら、その両方を満たしているから一番いい。フェアトレードの生産者は小規模で貧しく、伝統的な方法で作っている。農薬や化学肥料を買う資金がないので、ビオでなくても、普通の商品に比べたら農薬や化学肥料の残留はうんと少ないといえる。
フェアトレード業界で働く柿崎さん
柿崎深里さんは、フェアトレード企業「アルター・エコ」のコミュニケーション担当。学生時代、アルター・エコの直営店で研修し、初めてフェアトレードの世界を知った。同社は2002年から商品を開発し、モノプリ、ルクレール、アタックなどのハイパー、スーパーやフェアトレードの店で飲食品を販売。全56品目中、39品目にABマーク、50品目にマックス・ハベラーの認証が付いている。
「フェアトレード商品の魅力は、質が良くておいしく、環境にも負担をかけないこと。コマーシャルにつられて一般ブランドを買う人が多いけれど、それらと比べてもおいしいから、良質だから、という理由でフェアトレード商品を選んでほしいですね」
普通は、第三世界の自立に役立つから、という理由だけではなかなか買ってくれないので、既存メーカーの消費者を、質や味でフェアトレードに引き寄せるのが、アルター・エコの方針だ。
柿崎さんは、学校給食へのフェアトレードの導入や、企業の朝食会も担当している。フェアトレードで朝食ミーティングをしたい企業には、相談に乗ってくれる。
Alter Eco : 01.4742.3220