副題「どうやってアンリ3世は陽転したのか」が示すとおり、気難しく妹マルゴ王妃との世界にこもりがちなアンリ3世が、母親カトリーヌ・ド・メディチが仕組んだイギリス女王エリザベスとの縁談話を回避するために男色趣味を装うことから、本当に同性愛に開眼していく様がおもしろおかしく描かれていく。 半分は史実、そして半分はフィクション、よくできた脚本と役者の好演が功を奏し、あっという間に1時間15分が過ぎていく。ユシェット劇場は、サンミッシェル地区の真ん中に1948年から存在する小劇場。極小サイズの舞台は、椅子やカンテラなどの小道具と照明でうまく場面にメリハリをつける。演出はジャン=ピエール・ルーヴラ、劇の作者ミシェル・アイムはエリザベス役としても大活躍。(海) |
月-金21h。13€-18€。 Theatre de la Huchette : 23 rue de la Huchette 5e 01.4326.3899
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●夏の演劇フェスティバル 今年もやっぱり南仏が面白い。第59回を迎えるアヴィニョン演劇祭(7/8-27、www.festival-avignon.com)、パトリス・シェローが演出するモーツァルトのオペラ『コジ・ファン・トゥッテ』が目玉のエクサン・プロヴァンス(7/8-30、www.festival-aix.com)、ダンスに力を入れるマルセイユ(7/20まで。www.festivaldemarseille.com) など、南仏に旅立ちたくなってしまう。 |
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D A N C E ●Festival d’Avignon -Jan FABRE 今年のアヴィニョン・フェスティバルのダンス部門は、メインにベルギー、フランドルの鬼才(!)ヤン・ファーブルを迎える。法王庁の舞台での対を成す2作品やソロ演劇の2作品のほかに、元来美術家である彼の作品展など、アイロニカルかつユーモラスでパワフルな世界を堪能できる、何とも美味なプログラムが揃っている。 2001年のアヴィニョン以来の再演になる『Je suis sang (己は血である)』では、繰り返される歴史を貫く人間・生命を象徴する不変な物質「血」、その赤い液体に憑かれた舞台で身体は炸裂し、ボッシュの絵画にも倣った「中世のお伽話」が展開する。 新作『L’histoire des larmes (涙の歴史)』は、感情にあやつられ、肉体から流れるもうひとつの液体「涙」、すなわち感情の浄化装置の、顔という風景での模様を描写しようという試み。この物質への感性はやはり美術家のもの、大胆不敵な舞台を期待しよう。(珠) 『Je suis sang』は7/15、16、17/22h。 『L’histoire des larmes』は7/8、9、10、12、13/22h。どちらも12€~33€。 Cour d’honneur du palais des papes www.festival-avignon.com 04.9014.1414 |