去年の今ごろも、初夏から秋にかけてが食べごろのヤギ乳チーズの一つ、セル・シュル・シェールのことを書いたけれど、今回は、トゥーレーヌ地方で作られているヤギ乳チーズ、サント・モール。
乾燥したカーヴで3、4週間ほど、表面に木炭粉をまぶして熟成させる。直径4センチ、長さ15センチほどの細長い円筒形で、真ん中に麦わらが一本通って
いる。この麦わらは風味のためではなく、チーズを移したりするときにこわれにくくするためのもの。工場で大量生産されて包装されたものにはこの麦わらがな
い。
象牙色の身の外側に、灰色がかった薄い皮ができかかってきたら食べごろ。熟成が若いものは、身もなめらかでしっとりとし、酸味も強くなく万人向けの風味
だが、熟成が進むとヤギ乳ならではの酸味と香りが強くなって、ハシバミのような木の実の風味が出てくる。ワインはトゥーレーヌ地方の赤でも白でもお好み
で。(真)