すい星のごとくデビューした黒ずくめの二人組、ル・シルク・デ・ミラージュ(ボーカルはヤノフスキ、ピアノはパーカー)がシャンソンファンの間で大評判です。犬の遠吠えやふくろうの鳴き声、鳥に似たマイムなど、彼らなりの表現主義を歌の中に交雑させ、悪魔払いの儀式にも似たおどろおどろした物語風なステージを展開する。芝居とキャバレーの中間。観客の心をとりこにするカリスマ性と奇跡を呼び起こすステージはカフェ・ド・ラ・ダンスの空間にぴったり。(南) 4~9日/20h30。13€/17€(Fnac)。 Cafe de la Dance: 5 passage Louis-Philippe 11e 01.4700.5759 |
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Fujiko Hemming フジ子・ヘミング 日本人の母とロシア系スウェーデン人の父を両親に、ベルリンで生まれる。幼いころから母よりピアノを習い、東京芸大在学中も数々の賞を受賞。ブルーノ・マデルナらに認められ、一流のピアニストとしての道を約束されるが、風邪がもとで聴覚を失い、運命は一転。以後、ストックホルムで耳の治療のかたわら、音楽教師として暮らすようになる。95年、母の死を契機に帰国。再びコンサート活動へ意欲を燃やす。99年、そんな彼女の半生が、NHKの番組で紹介され大反響を巻き起こす。ピアニスト・フジ子の発見は、クラシック界という枠を越え、社会現象にまで発展。デビューアルバムはミリオンセラーを記録し、芸術家として第一線に復帰したことを鮮やかに印象づけた。 そんな彼女の待望のパリ公演が迫ってきた。彼女からオヴニー読者のフジ子ファンに、「いつもどおり頑張るだけ。応援して下さい」とメッセージが届いた。いつものように彼女の生へのまなざしが刻まれた味わい深い演奏に期待が高まる。 現在、パリのモンマルトルとサン・ルイ島に住んでいる彼女は、「パリは行けども行けども美しい町。日本人は日本の素晴らしかった文化をこわしてへんな町を作ってしまい、また作ろうとしているあきれた国民ですね」と、母の祖国、日本の荒れた景観に心を痛めているようだった。(瑞) 11月15日20時半より。 |
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●Gerard Lesne ロック歌手としてデビューしたジェラール・レーヌだったが、その後ルネサンスやバロック音楽の魅力に開眼、現在はカウンターテナーの第一人者として高く評価されている。彼が歌うヴィヴァルディやペルゴレージの『スターバト・マーテル』を聴いた人は、その、この世ならぬ声の響きに酔ってしまう。シャトレ劇場での彼の3日間の公演は絶対に聴き逃せない。 15日(18h30)は、イル・セミナーリオ・ムジカーレの伴奏で、自作のテンプス・フーギットを歌う。17日(12h45)は、チェロのブルーノ・コッセやチェンバロのブランディーヌ・ラヌーと共演、パーセルの『ソロ・ソングス』やモンテヴェルディなどの曲がプログラム。19日(20h)は、ブルーノ・アンジェリーニのピアノ、ジャン=フィリップ・ヴィレのベースで、ビル・エヴァンス、ウェイン・ショーター、ケニー・ホイーラーらのジャズの曲、と意欲的。(真) いずれも12€。 Theatre du Chatelet : 1 place du Chatelet 1er 01.4028.2840 ●ターラブ音楽 Theatre de la Ville : 2 place du Chatelet 4e 01.4274.2277 |
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●ジル・スコット 一つ一つのコトバを大切にしながら、クールなフィーリングでしなやかな歌を聴かせるジル・スコットは、エリカ・バドゥー以来のソウル界の大型新人。最新アルバム “Beautifully Human” でも、ジャズやヒップホップ的な音作りを取り入れ、独自の世界を探している。29日、30日/19h30。 32.90€(Fnacなどで前売り中)。 Elysee-Montmartre : 72 bd de Rochechouart 18e 01.5507.0600 ●仲野麻紀ソロコンサート Atelier Tapmpon : 14 rue Jules Valles 11e 01.4373.5346 前売りは06.3334.1473 |