「ほら、カフェで灰色のレインコートを着て背中を見せている男、あれはモディアノ、とボクがいった夜…」といったような、都会の風景と都会人の心象を、つぶやくように歌うヴァンサン・ドレルム(27)の2枚目のアルバム “Kensington Square” が、よく売れている。 1976年、ルーアンで生まれる。父は作家のフィリップ・ドレルム。学生時代は演劇にも興味を示し、戯曲も書いていた。1998年にルーアンで初のコンサート。2000年パリに上京。2001年には、トマ・フェルセンの前座で演奏。2002年4月に処女アルバムを出し、2003年2月には “Victoire de la musique” 新人賞、という目覚ましさ。 「BOBO(ボヘミアン気質のお金持ち。オヴニー530号表紙参照)文化のシンボルさ」とか「みんなドレルムが好きなのは当たり前。匂いも味もなく、つまらない」などという酷評もあるが、彼同様に、トリュフォーや作家モディアノを愛するような、都会住まいの30代から40代に大受け。「今」を代表する歌手の一人です。(真) |