「下水道にペタンクの球を落としてしまったんです!」
職員3人が乗る白いワゴン車の電話が鳴り「カルト・オランジュが下水道に落ちた!」と中年女性の声。車は現場、バスチーユ大通りへ。車中「ここだけの話、アルマ橋にある〈下水道見学コース〉は、あれはあくまでも博物館。映画の世界。ホントの下水道はもっと厳しいよ!」と職員。青いつなぎを着たスタッフが重さ5キロはある安全ブーツをはき、手袋、命綱をつけ、事件発生の下水口近くのマンホールから暗い下水道へと降りて行く。
雨水が路面から下水道に流れ込む時に通る細長い下水口はパリ市内に1万8千。そこからスポリ落ちる携帯電話や地下鉄定期券、カギ。杖、入れ歯、靴、スケートボード、ペタンクの球なども落ちる。それらを下水道に下りて見つけてくれるサービスが《SOS下水道》だ。昨年の落とし物捜索願いは626件。80%が見つかった。他にも下水道の悪臭、下水道管の詰まりといった苦情にも対処する。通報数は86年から3倍増、昨年の出動3177回!スタッフ35人、4チームのシフト制で24時間態勢。
「『下水道に落としたズボンを探してほしい』と電話を受けた時は、さすがに驚いた」と責任者ペタモン氏。95歳の男性がクリーニング屋で受け取ったばかりのズボンを地面に落とし、水の流れとともに下水道へ、というのが真相だ。本人が「どこの穴から落としたのか」言ってくれれば捜索しやすい。パリの下水道は道路よりも長く複雑で、マンホールの数だって下水道だけで3万個!(美)
Egouts de Paris :
01 4475 2275
(24時間無休)
egouts de Parisに電話がかかってくる。
にこやかな応対がうれしいなあ。
「まるでアリババの巣窟!」
パリ市内で遺失物取扱所に届けられる物は年間約16万個。落とし物のベスト4は、眼鏡、傘、カギ、携帯電話。特に携帯電話は保管倉庫に専用の棚があるほど。それぞれのロットナンバーにより持ち主が判明することもあり、電話会社へ問い合わせたり返却したりするそう。 一番奇妙な落とし物は? ウェディングドレスの隣には、ご丁寧にもふくらましてあるダッチワイフ、入れ歯に骨壷、馬の鞍から義足まで珍品の数々を集積してあるコーナーがそのお答え。
落とし物にも流行とシーズンがある。冬には手袋やスキー板、夏にはサングラスが多く、キックボードやインラインスケートが流行ればこうしたモノが大量に届く。地下鉄のキップ売場や警察署に届く落とし物の75%は持ち主が不明。が、ここの追跡班は、名前や所属先を頼りにほとんどの持ち主を見つけてしまう。レントゲン写真なら病院に、クレジットカードならカード会社に、学生証なら学校に問い合わせて持ち主を探し出すのだそうだ。「落とし物なんて見つかりっこなーい」なんて思う我々の常識を越えて、持ち主探しに汗を流す人たちがいるのだ。
電話でのサービスもありがたい。毎週8千件も寄せられる問合せの電話に親切に応対し検索してくれる。
最後に具体的なガイド。落とし物を引き出す時、本人の物なら身分証と警察署が出す紛失届けを持参。代理人が行く時は、紛失届けと紛失者の委任状、身分証のコピー、代理人の身分証が必要。価値が762ロ以下の物なら保管料は4.95ロ、それ以上の場合は価値の3%を払わされるそう。保管期限は価値が50ロ未満なら3カ月、それ以上の物は1年。この期間を過ぎれば届け人が回収できる。所有者なしとみなした物は市営の競売所に付される。(里)
Objets trouvés 遺失物取扱所
08 2100 2525
36 rue des Morillons 75015 Paris
(月-木8h30-17h00/ 金8h30-16h30)
《緊急時の電話帳》
警察…17
消防署…18
電話番号案内…12
時報…3699
粗大ゴミ回収課(パリ)
08 2000 7575
クレジットカード紛失届け(パリ)
08 9270 5705
SPA(動物愛護協会)
01 4798 5740
火傷(子ども)
01 4473 7475
Hôpital Trousseau
26 av. Arnold Netter 12e
火傷(大人)
01 4928 2000
Hôpital St-Antoine
184 rue Fbg St-Antoine 12e
予防接種センター(無料)
08 2000 7575(Paris Infos)
各区のセンターの住所を教えてくれる。24時間営業の薬局
– 84 av. des Champs-Elysees 8e
01 4562 0241
– 6 place Felix Eboue12e
01 4343 1903
– 9 place Pigalle 9e(9h-24h)
01 4878 3812
-106 bd Montparnasse 14e
(9h-24h)…01 4335 4488