パリのサンドイッチ・ワールド

中近東・アジア編

ユダヤ
日曜日、ユダヤ人街のあるマレ地区を散策すると、片手にフォーク、もう一方の手にサンドイッチ・ファラフェルを持っている人をあちこちで見かける。今やこの地区の名物だ。ファラフェルはつぶしたひよこ豆や空豆に、きざんだパセリ、にんにく、クミンなどを加えて揚げたスパイシーなコロッケのこと。ひよこ豆は中近東や北アフリカ料理には欠かせない、たんぱく質やビタミンが豊富な豆で、クスクスなんかにも入っている。このサンドイッチ、ピタという丸くて平たいパンの上のほうに切り込みを入れてポケット状にし、中にゴマクリームを塗る。そこにたっぷりの刻み野菜(下味をつけた白か紫キャベツ、トマト、きゅうりなど)と揚げたてのジューシーなファラフェルやナスを入れてくれる。肉類は全く入らない、いわゆるベジタリアンサンドだけど、ボリュームはかなりのもの。食後は餃子を食べた以上に、にんにく臭くなるのでご注意を。絞りたてのあまーいキャロットジュースとよく合う。この他、この界隈では、玉ねぎのチップスと青いけしの実のついた丸いパンに、なすのピュレやハム類をはさんだサンドイッチや元祖ベーグルサンドなど、ユダヤオリジナルのサンドイッチが食べられるのもうれしい。



玉ねぎのチップスつき。

 

 



 

 


 

トルコ・ギリシャ

トルコ語でドネルは「回転する」、ケバブは「ローストした肉」のこと。つまりドネル・ケバブは、あのくるくる回転しながらローストしている肉の塊のことなのだ。お国柄、羊の肉が普通だが、店によっては仔牛肉だけ、あるいは混ぜて使っている。パリ、それも郊外に近づくほど、この回転焼き肉のサンドイッチ屋があふれてくる。看板にはgrecque(ギリシャふう)と書かれている場合もあれば、turc(トルコふう)と書かれている場合もある。この2国は地理的には近いが、歴史的に仲があまりよくないので、ネーミングにも意地を張り合っているのだろう。でも私たちはなぜかギリシャのほうを優先して、「グレック」と呼ぶ。
サンドイッチ作りは回転肉を大きなナイフでそぎ落すところからはじまる。最近では便利な電動カッターもある。「ソースは?」と聞かれるので、白いソース、マヨネーズ、ケチャップ、マスタード、アリサ(唐辛子ペースト)の中から好きなものを選ぶ。白いソースはミントのきいたヨーグルトベースのさわやかなソースだ。ほぼ同時に「サラダ、トマト、玉ねぎ?」と聞かれるので、「サラダたっぷり、玉ねぎは少なめに」とちょっと注文をつける。玉ねぎは生なので、口の中で長時間あとを引くため少なめのほうがいい。さらにおなかの具合に合わせてフリット(フライドポテト)をつけたりつけなかったり・・・。パンは薄いほうのピタ、バゲット、わらじ形のパンなど、店によってまちまちだ。気のきいたところはパンもきちんとあぶってくれる。ボリュームがあって腹持ちもいいのでアラブの人だけでなく、お金のない学生の心強い見方です。

レバノン
中近東料理の中でもサービスの仕方や味付けがとても上品なのがレバノン料理。パリ市内にも高級店がいくつかある。レバノンふうのサンドイッチは、同じピタでも、サンドイッチ・ファラフェルよりも薄くて大きめのピタを使い、食事のときはこれを4等分にしたものがバゲットがわりに出てくる。中が空洞になっているので、2枚になるようにはがしてから重ね(ちょうどクレープを2枚かさねたような状態)、ソースを塗りつけ、野菜や肉をくるりと巻いてプレス機で焼いてくれる。ソースはひよこ豆のペーストやヨーグルトソースなど。レモンをたっぷり絞ったパセリ、酢漬けのカブ、肉もマリネしたものをローストしてあるので、きりりとした酸味が口の中に広がる、これからの季節にピッタリのサンドイッチだ。



直径20センチ。
 

 


チュニジア

 

(真)さんが、以前オヴニーで紹介していたチュニジアふうサンドイッチは、casse-croute tunisienという。「作っているところはまるで儀式!」と興奮気味に語っていた。大きな丸いパンを半分に切り、切り口に唐辛子ベースのソースをこすりつけ、小さく切った酢漬けのカリフラワー、にんじん、きゅうり、ピーマンを置く。その上にツナを細かくほぐしながらのせ、仕上げに黒と緑のオリーブ、赤と緑の唐辛子をのせてフタをする。でもこれってニースのパン・バーニャにそっくり。どっちのサンドイッチが地中海を渡ったのだろうか?

ベトナム
お米中心のアジア圏の中でも、フランスの植民地だったベトナムには、バゲットを使ったサンドイッチが存在する。もちろんパリの中華街でも食べられます。最もスタンダードなのは、縦に切り込みを入れたバゲットにマヨネーズを塗って、甘酢につけた細切りのにんじん、短冊に切ったキュウリ、薄いベージュ色のソーセージ(懐かしい魚肉ソーセージみたい)や豚のチャーシューなどをはさむ。仕上げにたっぷりの香菜(コリアンダー)を散らして。「辛いの?」と必ず聞かれるので、お好みで。アジア食ならではの甘辛いコンビネーションがやみつきになる。牛肉やチキンは、レモングラスで香りをつけた照り焼きふうでこれもまたおいしい。



 

 

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