時間に追われる生活の中で日本の友人たちの便宜を計るべく、Eメールアドレスを作った。自宅にパソコンがないせいもあって、なかなか慣れない。仏人の夫に至っては一度使ったきりで、こりごりだという。手元にパソコンがあっても、緊急の連絡以外は、Eメールは苦手という人がまわりには案外多い。推敲を重ね、考えながら書く習慣が身に付いた人には、ささっと書いて瞬時に送るというのは、向かないようだ。
寝食を忘れるほどではないにせよ、インターネットに時間を費やす留学生や日仏家庭の奥さんが多いようだ。滞在の理由は様々だろうが、フランスが好きで住んではいないのだろうか、と思うことがある。インターネットは海外居住者の孤独をいやす一役を担っているに違いないが、常時自国や母語とつながっていると、異国での文化のとらえかたはどうなるのだろう。
異文化間というものは、すいすい行き来できるものではない、いずれの文化も本気で取り組もうとするかぎり。あまり軽く構えていると、フランスという重厚な文化からはね返されはしないだろうか。(粒々芥子)