〈建物の住人パーティー〉仕掛け人、ペリファン氏。
5月27日は〈建物の住人パーティー immeubles en
fête〉の日。このイベントを、街レベルからフランス全国、そして、ヨーロッパ規模にまで広めてしまった人物がいるという。IT企業の経営者であり、17区の助役も務めるペリファン氏(38歳。4児の父)だ。〈immeubles en fête〉協会で、社員2人の他に15人のボランティアを率いる。
ペリファン氏にそもそもの始まりを聞いてみた。「17区のある建物で、異臭の出所をつきとめたら、死後3週間のおばあさんが発見されたことがあったんです。隣人の若い男性は、そのおばあさんとは生活の時間帯が違うから、顔を会わせたともなかった。こういうことがあってはいけない、と1990年に17区で親睦の協会を作りました」
それが〈immeubles en fête〉協会へと発展。年に一回の〈建物の住人パーティー immeubles en fête〉の日を設ける。昨年は、全国で200万人が隣人たちとグラスを交わした。
「今までフランスの社会では、郵便配達人と管理人が人々の〈つなぎ役〉だったのが、今では、高くつくからと、その管理人の数が減少しています。建物の入口にはコード番号、家の扉は装甲され、カギを複数かけ・・・人々は他人を怖がって生活している」。そんな状況も、人々をパーティー参加へ促す一因だったという。
公的職務外でも、一市民として町内で大活躍。「初めて子どもが生まれたのを機に、建物内の住人を家に招いたんです。それが隣人関係を潤滑にしてくれたので、翌年は隣の建物の住人たちも誘って1階のカフェで親睦会。妻は人々が来てくれるか半信半疑で、最初は家から階下の様子をうかがっていましたけど・・・。その翌年は、さらに範囲を広げて、交差する2本の通りの住人たちと外でアペリティフ」。今では隣の老人が「あなたたちが隣にいるから安心だ」と言ってくれたり、親睦会で出会ったカップルから出産の知らせが届いたり、車を持つ人は何かのときに足になってくれたり、隣人が子どもを預かってくれたり…。
〈建物の住人パーティー immeubles en fête〉も4年目。今年は、フランス全土で300万人が参加すると見込まれている。”隣人”のベルギー人たちにも、海を越えたロンドンっこたちにも、ダブリン、アテネ、テサロニケ、チューリッヒ、ブカレスト、ナポリ、ミュンヘン、バルセロナ、プラハ、ウィーン、ジュネーブなどの都市の住人にも、この動きが飛び火してパーティーが開かれるそうだ。「日本にも広げたら?
オヴニーで広げるべきだよ!」と隣人パーティーのアレキサンダー大王みたいな会長は、極東までも視野に入れたのだった。(美)
建物の住人パーティー、今年はフランス全国で300万人が参加する見込み。
ロンドン、アテネ、チューリッヒ、ナポリ、ミュンヘン、バルセロナ、ウィーンなどにも飛び火。
*建物の住人パーティー写真コンテスト
パーティーの様子を写真、レポート、ビデオにして送る。
最優秀賞(50名)は、おやつクラッカー(Belin社製)1年間分。
Association Immeubles en fête, concours《bien voisiner》 :
1bis rue Descombes 75017 Paris
締め切り:7月31日 発表:9月15日
あなたにとってイヤな隣人とは?(sofres調べ)
1)隣のことに耳をそばだて、なにかないかと常にうかがっている人(返答者中20%)
2)しつけの悪い子どもを持っている人(17%)
3)ゴミを下ろすときに、階段でこぼす人(16%)
4)日曜とか午後10時過ぎに大工仕事などをやる人(13%)
5)どんな小さな音でも苦情をいう人(12%)
6)うるさいイヌを飼っている人(9%)
7)階段でタバコを吸う人(7%)
8)いつも何かを頼むくせに、お返しのない人(2%)
あなたにとってイイ隣人とは?
1)親切なひと言を忘れない人(56%)
2)決して会うようなことがなく、いつもほっておいてくれる人(20%)
3)バカンスで留守にしているときに植物に水をやってくれる人(7%)建物の住人パーティーを始めたい人は…
1)まず、誰かひとり仲間をつくる。
2)区役所やモノプリで〈immeubles en fête〉のポスターをもらうか、www.immeublesenfete.comからポスターをダウンロードして建物内に貼る。
3)入口の扉の前や、中庭などに椅子を置く。
4)パーティー当日、胸に名札をつける。
(以上、ペリファン氏のアドバイス)