Salade de calmars au safran
パリは小イカがキロ5euros前後と安いので、うれしくなってしまう。薄褐色の皮がきちんとついていて、胴に張りがある新鮮なものを選びたい。刺身やテンプラにしたり、バスク風に米や生ハムを詰めてじっくり煮込んだり、パエリャに入れるのもおいしいが、今回は初夏らしく、サラダです。イカのサラダというと、日本人はさっとゆでて、塩もみしたキュウリを添えることが多いが、今回は、あらかじめサフランの風味をきかせてオリーブ油で炒めておくスペイン風。
小イカを4人分として500~600グラム買ってくる。胴からワタとあしを引き出し、透明な軟骨も抜き出す。胴の皮は別にはがす必要はないけれど、サフランの色を美しく出したい人ははがしてください。ワタ、眼、あしは一つになっているが、眼とくちばしのところは切りとって捨ててしまう(下欄参照)。
タマネギ1個、ニンニク3片、パセリの葉適量をみじん切りにしておく。小唐辛子1本は中の種をとって小口切り。
フライパンにオリーブ油をとる。冷ましてから食べるのでバターは不向きだ。油が熱くなってきたら、タマネギを加える。タマネギが透明になってきたら、ニンニクと唐辛子を加え、いい匂いが立ちのぼったら、一気にイカを加える。サフラン二つまみ、白ワイン少々を全体に振りかけ、塩、コショウ。強火でさっと炒め上げることが大切だ。炒めすぎるとイカから水気が出て固くなってしまう。パセリを混ぜ入れてからイカを取り出し、冷ます。フライパンに煮汁がかなり残ってしまったら、煮詰めてからイカに振りかけておきましょう。
大皿の真ん中に冷めたイカを盛り上げるように置き、まわりを、レタス、トマト、コロッと切って軽く塩もみしておいたキュウリ、表面を焦がしてから皮をむいておいた赤ピーマン、オリーブ、ゆで卵などで飾りましょう。オリーブ油ベースのビネグレットソースも添えたい。(真)
●赤ピーマンのサラダ
マグレブ系の人たちが大好きな、赤ピーマンとトマトのサラダを作ってみよう。初夏向きの香り高いサラダです。
赤ピーマンは焼いて皮をむくと、消化にもいいし、独特の甘い風味も強くなる。
なるべく同じ大きさの赤ピーマン4個を買ってきて、ガス火あるいは天火の上火でまんべんなくこんがりと焼く。焼き上がったら、すぐに新聞紙などで包んで10分ほど放っておく。すると、ツルン、ツルンと面白いように皮がむけていくでしょう。これを小さなさいの目に切る。トマト2、3個も湯むきして皮をむき、やはりさいの目に切る。赤ピーマンとトマトをサラダボールにとる。タマネギ1個をみじん切りにしたものを混ぜ入れ、塩、オリーブ油、ビネガーで味を調える。最後にみじんに切ったパセリをたっぷり振りかけたい。
●Calmar
小イカはcalmar(calamar)と呼ばれている。地中海沿岸では大切な食材で、さっとオリーブ油で炒めたり、トマト風味で気長に煮込んだりする。バスク地方ではchipironと呼ばれ、米やイカのあしなどを詰めて辛いソースで煮込んだものが名物料理となっている。さっと塩ゆでにしてからレモンを搾りかけて食べるのもおいしい。
●ハーブ・スパイス探検|パセリ persil
魚料理、肉料理、スープ、パスタ、サラダ、テリーヌなどに欠かせない基本的なハーブがパセリ。パセリの入らないムール貝の白ワイン煮やエスカルゴのソースはちょっと考えられない。ブーケ・ガルニにも必ず入っている。熱が加わると大切な香りを失うので、細かく刻んだものを仕上げに散らすのがコツ。
日本人におなじみの縮れ葉タイプpersil frise一見三つ葉に似た葉の縮れていないタイプpersil platがある。後者の方が香りがよく、オヴニーのレシピでパセリと出てきたらこれです。テンプラにすると美味。買ってきてすぐに、水を入れたコップに差しておけば、3、4日持つ。
●サフラン safran
料理に美しいオレンジ色と独特の香りをつけてくれるサフランは、スペインやモロッコなど地中海料理になくてはならないスパイス。パエリャの色と香りの素ですね。クロッカスと同種のサフランの花のメシベを乾燥させたもの。今でも花を一つ一つ摘んでから、メシベだけをとりのぞいて乾燥させる、という手作業に頼っているので、スパイスの中でも一番高価 (0.5グラム2.50€前後)。すでに粉にされているものよりは、en filamentといってメシベの形のままのものの方が香りが強い。魚介類との相性がよく、オリーブ油やニンニク少々とコンビにすると、その香りが生きる。