マレ地区らしき、古い建物の中庭に面したアパート訪問です。エコール・ド・ミンヌ(高等鉱山学校)の研究室で働くフレッド君と、インテリア・コーディネーターのエミリーさん、ふたりとも26歳。14m2ひと間のふたり暮らしの様子を取材するつもりだったのが、こちらがぐずぐずしているうちに彼らは家を拡張してしまった。 14m2暮らしの時代に、3.80mの高い天井を活用するため、中二階にベッドを作りその真下にキッチンを設けた。料理の湯気が上がってゆくところにベッド、というのも不思議だが、猫の額たりとも無駄にはできないステュディオ住まい。それを2年続けたところで、ずっと誰も住んでいなかった階下の部屋を買えることになり、17m2を約54 900ユーロで購入。公証人や不動産屋への謝礼を含めて最終的には61 000ユーロになった。 それからは床に穴を開けて、上と下の階を階段でつなげたり、日当たりの悪い 1階の床や天井の梁を白く塗ったり、タテ長の快適な住まい化が進む。キッチンは階下に作り、ベッドの下には洗濯機とテレビが並べられ、白いカーテンで隠されている。ソファーの下の箱を引き出すと靴が入っていたり 、”収納=隠し方” が巧い。「キッチンの家具はIKEAで買い、他の家具は拾ったり、誰にでもできる改装」とエミリーさんは言うが、プロとはいえ、どこをとっても絵になる家だなぁ。 エミリーさんの仕事部屋は中庭の反対側の棟にあり、仕事道具や散乱しがちな紙類はそちらにあるというのも羨ましい。ふたりとも仕事場が近く、自転車が主な移動手段だ。(美)
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★アパート貸します |
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「さくらんぼの時」 | |
一対のさくらんぼのように仲のよいエミリーさんとフレッドさんに連れられ、近くの庶民的なカフェ・レストランへ。昼を過ぎて店内はほぼ満席。ふたりの家の向かいにアトリエを持っている弦楽器職人さんたちもご飯中。創業は18世紀末、1871年のパリ・コミューン時代から革命歌として愛唱されてきた「さくらんぼの時」の歌の名がつけられた伝説的な店。その名の由来は定かではないが、24年前からの経営者ヴィマール夫妻は「大革命の発端となったバスチーユに近く、cerisaie通りにあるからでは?」と考える。 革命家たちの溜まり場なのですか? 「近所の子どもから学生さん、大人まで通ってくれてます」(美) *Le Temps des Cerises : |
閉店時間も過ぎたというのにまだまだ飲んでいる。 |