破滅間際のカップル、夢も持てないような社会に放り込まれた若者たち、神の存在に疑問を持つ田舎司祭…彼らの生き抜いていくための葛藤を、感傷やヒロイズムに陥ることなくリアルに描いた映画監督モーリス・ピアラ(J・ルノワールの唯一の後継者だったのかもしれない…)が、1月11日に亡くなった。77歳。 「映画的な演技 jeu de cinéma」を毛嫌いし、俳優たちの「生(なま)」が出るまで徹底的にしごくという評判をとった。ほとんど同世代のヌーヴェル・ヴァーグ監督たちを「芸術家と言い張るのに必要な残酷さを一度も経験したことがない」と鋭く批判し、異端者的な存在だったが、1983年には『愛の記念に』でセザール賞、87年には『悪魔の陽の下に』でカンヌ映画祭グランプリに輝いた。その表彰式で観客たちにブーイングされ、「あなた方が私を嫌いなら、私はあなた方が嫌いだ」とやり返し、コブシを振り上げた。 「彼は、真実を痛みの一番深いところにまで求めたのです」と『Loulou』で主演したユッペールは語っている。(真) |
『悪魔の陽の下に』など4本の作品で主演したドパルデューと並んで。 “Les cinéastes de la Nouvelle Vague: entre autre chose, ils n’ont jamais eu la cruauté nécessaire à qui prétend être artiste.”
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