パリの街角で私と同年代の日本人の女の子をよく見かけます。彼女たちにひとつ忠告。ガイドブックや地図を見ながら歩くのはやめて! おのぼりさん風でカッコ悪いし、それより、泥棒やスリに狙われやすくて危ない。
パリに来たからには目当てのブティックをいろいろ回りたい気持ちはよく解ります。それに、地図を見なければ、慣れない町では迷ってしまう心配もあるでしょう。でも迷ったからこそ予想外の発見や意外な出会いがあります。それにパリは、パリ人が自慢するように、常に何か新しい物を発見できる街です。ガイドブックを見ながら歩いていたら、今、自分のまわりにある面白い物を見落としかねない。
たとえば、煙突の形や屋根裏部屋の窓の種類。建物の下の方にある空気孔の模様。小さな路地裏に迷い込んだり、お伽噺に出てきそうな靴の修理屋さんや、五十年前にタイムスリップしたようなカフェを発見するかもしれない。
近々行われるコンサートのポスターも貼ってあれば、日本では公開されない映画の情報も得られます。私は下着の宣伝ポスターが好きです。あのような女がかっこいい、とパリの女たちは思っている。たとえ、言葉がわからなくてもまわりを見るだけで、フランス的感覚を何か感じ取れると思います。
地図やガイドブックを見るのはホテルを出る前か、カフェで一休みする時にしてはどうでしょう。パリはガイドブックの中にあるのではなく、目の前、自分のまわりにあることを忘れないで。(ミサ)