楢崎桃子さんには、物件を探すにあたって強い支えとなる保証人がいた。ホテルに泊まりながら物件満載のparticulier a particulier誌、J’annonce誌、そしてオ ヴニー(!)などで情報収集。発行の日は早起きし、朝一番でそれらを入手、素早く赤ペンでチェックして即電話、アポとり。住宅探しに王道なし。楢崎さんは、気になる30以上の物件の諸条件、例えば家賃、管理費、暖房は中央か個別か、場所、入居できる時期などを、一覧表にまとめて比較研究したりもした。「あさいちで じょうほうゲットが 勝因だ」
6区のアサス通り。パン屋さん「カイザー」、ザッキン美術館、リュクサンブール公園もあるし、カフェもパティスリーにもこと欠かない。おまけに学校へ行くのにも1本道。リサーチ10日目にして見学に来たこのステュディオは、かなり良い。見学者は20人程いたが、多くの人は管理費が高いと諦めた。その後は保証人さんが大家さんと交渉。両親の給料明細まで日本からビジネス郵便で送ってもらい無事、入居。「気に入れば 押しの一手で 安住の地」 楢崎さんは「風水」に興味がある。繁盛する商店施設の「風水的条件」を調べるため、方位磁針を持ってカフェなどを訪れたりもする。www.kashu. com/ fuusui/によれば、『風水とは人を不幸に陥れる「サツ」に対し、大地を流れる大きなエネルギーを取り入れることにより、改善を図る学問です。(・・・)「風水」は、風水専門用具の力を借りて、大自然の気を取り入れる手法です』。トラブル続きだったクリントン元大統領も執務室を風水師のアドバイスのもとに改善したり、香港の中国銀行ビルが風水をもとに設計された、などの例も載っている ステュディオは北東向き、風水的には望ましい方角ではないらしい。「ここに決めた時は、風水がどうのと言っている場合ではなかった」と楢崎さん。「植物を窓に置いて鬼門をおさえます」。時間があるときは、家具などもそれぞれ《よい方角》に向けたりするが、風水に強くこだわると自分で家を建てないと駄目なくらい、細かい条件を満たした住宅を探すのは難。そこで出来る範囲での工夫を施す。 日本ではインテリアデザインの仕事をしていた楢崎さん。黒い家電製品が嫌いで、家具だけでなくテレビまでペンキで白に塗った。家具を自分で作るため、蓄積される材料があちら、こちらに。組立家具の木板も壁に立て掛けられている。ひと呼んで、現代アートのインスタレーション。でも楢崎さん、入居して4年目とのことですが、いつ作り始めるのでしょうか・・・? 「雑然さと この無造作が カンファタブル」(美) |
ディテール:本棚。 南西は裏鬼門なので本棚でおさえる。 |
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革新的な子ども美容室 Au Pays d’Oscar | |
今はアリアンス・フランセーズに通う楢崎さん。通学路は洒落たブティックばかりだが「いつもディスプレーに凝っているのが子ども美容室オ・ペイ・ドスカー」。水曜の午後、店内は親に連れられた子どもで賑やかだ。15年前にこの店をオープンしたオスカー氏は、3カ月前に新しいコンセプトでギャラリー・ラファイエットにも出店したばかり。こちらは美容室に不可欠とも思われていた鏡を排除し、子どもが美容師と同じ高さで話しをしながらカットしてもらえるような台や、椅子をデザイナーと考案。店内の掃除機は子どもが乗り物として楽しめるようにもなっている。中世のお城をヒントにしたのは内装のデザインだけでなく「ここでは子どもが王子様・お姫様で美容師が家臣です」。2月からは1号店も、このコンセプトで一新する。カット所要時間約20分。カット20~30euros。土・水曜は+2euros。カットは3カ月くらいもつ、とオスカー氏。カットが終わるとごほうびの綿菓子がもらえる。(美) |
1号店:16 rue Vavin 6e /2号店 :Galeries Lafayette(5 階)40 bd Haussmann 9e 0826 000 616 www.aupaysdoscar.com |